マーケティングオートメーション活用のステージを上げるために、まずは実態を知ろう

一昨年あたりから急速に日本でも普及してきているマーケティングオートメーション(MA)。
マーケティング実態調査レポートでは、「未導入だが今後導入を検討したいマーケティング関連システム」として、1位にMAが挙がっています。
出典:https://satori.marketing/informations/20170119/

当社でも導入、活用促進に関わってきていますが、最近はこの世界もひとつの節目を迎えていることを感じます。

しかし一方で、自分たちがどれくらい使いこなせているか?について客観的に見て測るのは難しく、これまでやってきたことが本当にこれでいいのか?という疑問にぶつかるケースもしばしば見受けられます。

なかなか設定内容が文書化されない性質のものなので、実態がどうなっているかを把握しきれていない場合もあります。また、そういった中身の話だけでなく、うまくいかせるための組織としての条件が整っているか、といったMAツールの外の話もあります。

MA活用の次のステージにいくにあたり、やるべきことが多岐にわたる可能性があります。まずは実態を知るところから取り組んではいかがでしょうか。

 

MA活用の実態を知るための4つの視点

「実態を知ろう」と言われても、どういう視点で捉えればよいのか?
これか、がないとなかなか整理がつきません。大きく分けると、4つの視点で見てみるとある程度網羅されます。
その4つとは、「戦略」、「コンテンツ」、「ツール・テクノロジ」、「組織・能力」です。
それぞれの視点について、詳しく説明しましょう。

 

重要な要素を無視した戦略になっていませんか?

まず戦略についてです。
いくら最近リーンスタートアップのような「考えながら走る」というアプローチが一般化されてきたとはいえ、経営や事業を成功させるためにMAはどういう位置付けかという共通認識は必須です。これがないと、活動そのものは無意味です。

また、顧客がどういう気持ちや行動をとるか、という部分をスキップして施策のみを考えるというのも大事な部分の欠如です。既存のマーケティング活動をMAに移行しただけというケースで多く見受けられます。

あちこちで聞かれる「KPI」もどういう指標を設定すべきか、どういう数字であればよしとするか、MAにどういう役割を果たしてほしいかが明確でないとPDCAにつながる測定はできません。

これらのようなことがどこまで出来ているか、は自らを知るうえで重要なことです。

 

単発では終わらない、コンテンツ開発

次にコンテンツです。
デジタルマーケティングになると、コンテンツ類はそれ自体が営業的役割を果たしてくれる必要があります。説明をする人とセットであれば、多少出来栄えが今一つであっても何とかなりますが、独り歩きさせるコンテンツは見る側視点でのかなりの完成度が求められます。

個々のコンテンツの質もそうですが、立派なものをひとつ作って単発で終わるわけにはいかないので、それを継続的に生み出せる、会社としての体制やしくみがないといけません。

コンテンツ面の進化は避けられないテーマだと思います。さて、どこまで出来ているでしょうか?

 

使いこなすだけで満足してはいけない、ツールとテクノロジ

次はツールとテクノロジについてです。
まずは、MAツール内の機能をどこまで使いこなせているかという点と、そもそも自社の特性に合ったツールを選択しているか、という点があります。目的は明確であっても、それにあった形で使われていないともったいないです。

次々に出てくる新しい機能についても、ひとつひとつは優れたもので意味もあると思いますが、すべてが自社に合っているかは分かりません。ここは使う側次第でしょう。

あとはMAのみならず、その周辺システムとどう有機的に連携されているかです。MAはマーケティング業務をカバーするツールではありますが、前後に、広告や営業などの隣接機能があり、それらとつながることではじめて業務との密着度が増します。

 

MA活用を“自走化”させるために必須となる要素、組織と能力

今、多くの企業がMA活用を“自走化”させようとしています。導入時は専門家が必要ですが、日々使って成果を出すには社内でどう運用しきれるか、にかかっています。

そういう形をとれるような能力が備わっているか? 100%とまでは言わなくとも、ツールを使いこなせる人材が育っているか? そういった点は極めて重要ですし、早いタイミングで準備をしていく必要があります。

またMAというもので、何ができるようになるのか? どういう人的、経済的投資が必要なのか? が組織内で共有されていないと、組織的バックアップをしようにもできませんし、単なるサークル活動で終わってしまいます。

意外と関わる部門が多くなるのもMAの特徴です。マーケティング、販促、営業、IT… それぞれの部門で変わらなければいけない部分が出てきます。それを各部門のトップが理解し、業務のなかに反映させているか、このあたりも極めて重要な要素です。

以上のような視点で、自社が今どういう状態なのか? 今後どこを変えていかなければならないのか? を理解し、その解決のための道筋を描くことで、活用度のステージが上がり、自力で成果を出していける状態に近づけるのではないでしょうか。

実態を知っていただく手段として、当社でもアセスメントサービスのようなものも行っています。そういったものを利用したり、自分たちで情報収集したりするなど、今何が足りて何が足りないのかを知る機会を持っていただくことをお薦めします。

 

記事を書いた人

木村 恵李