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マーケティングオートメーション 「成果が出ない」という前に 本当に大事なことに使えていますか?

当社でお客様向けにマーケティングオートメーション(MA)導入を始めて、気が付けばもう4年ほど経ちます。

まだ名称は分かりやすいようにMA ”Marketing Automation”ですが、やればやるほど、マーケティングというよりも、企業と顧客が相互に関係構築を望む状態、“エンゲージメント”のためのものだというのが分かります。

MAには、顧客に「認知」してもらって、「興味」を持ってもらって、「購入」の背中を押して、、という、いわば分かりやすいモデルがあります。これはいわば鉄板ですが、事業のタイプによっては、必ずしも「これが一番大事」というほどのものではないこともあります。

そういう場合は、いざ導入・活用をしてみても、顧客との関係のほんの一部しかカバーしていないので、努力の割には成果が見えず、なかなか元が取れない使い方となってしまいます。

 

購入促進が一番大事? 自社製品の買われ方の変化に合わせた使い方を

これまでなかった商品や、新たな市場であれば、新規リード獲得から購入に力を入れるのはとても大事なことと思います。しかし一般的な製品は、ほとんどのものが買替年数が長くなっているのはご存知でしょうか?

2018年の消費動向調査によると、主要耐久消費財の買替サイクルは殆どすべて長くなっています。

10年前に比べて現在2018年時点では、

☑自動車は7年から9年と、なんと丸2年の延長

☑電気洗濯機は8.7年から10.2年と、10年超え

☑デジカメは3.5年から6.4年と、倍近く

☑なるほどカメラは携帯に移行したからかな、と思い携帯電話を見ると、それですら2.7年から4.4年と、オリンピック並み

 

これほど消費者は、どのブランドどのメーカーという以前に、“買わなくなってきている”のです。そうなると既存のお客さんを離さないというのは必須で、そのためにサービスでつなぎとめるとか、いっそサービスで収益を上げるか、そういう選択が必要になります。

MAができることを網羅的に理解されている方なら、「いや、これこそMAの出番ではないか」と思われるのではないでしょうか。

すでに顧客がどういう人かわかっていて、情報を得ようと思えば得られる。そこに最適な情報発信をしてエンゲージメントを高めることにまさにフィットします。

知らない人からメールアドレスを獲得することの大変さと、そこから顧客にすることの大変さは、やったことがある方なら皆さんご存知だと思います。

もちろん新規獲得も重要ですが、かけるパワーに対するリターンも考えて、顧客関係のどの活動に力を入れるかを判断する必要があります。

 

事例は参考になる? 商品と売り方でまったく違うMA活用

当社でお手伝いしているMAのお客様の業種の変化が出てきています。

初期の頃は、B2Bが圧倒的でした。しかし今はB2Cもかなりの数になってきています。この2パターンで整理できるものでもないですが、これらでMA活用は全く違うものになることが多いです。

例えば、ECでの消費財販売を主業務にされている、あるお客様で、「購入に至るまでをMAで強化しよう」と頑張ってきました。しかしECの場合、結局はECサイトへの誘導と購入でいきなりお客様との接点ができます。

リードになって育成して…、という悠長なものではなく、リスティング広告でも何でもして、とにかくサイトに来て買ってもらう。ここから始まる形です。

そうなるとMA活用の重点は、そこからいかに関係を維持して、その人にとって有益な情報を提供することで、継続購入や他の商品購入などの「顧客内シェア」を高めるか、になります。

ナーチャリングも、最初にそれほどロイヤルティがない状態で購入したところから、いかにロイヤルカスタマーにしていくかというものになります。

一言でナーチャリングといっても、関心喚起などの決まった枠にとどめずに、「その企業の特性に沿って最適な方法を考える」ということが大事だと思います。他社事例は参考程度にとどめ、本当に自社にあった方法を採用することが、きっと成功への近道になるでしょう。

 

カスタマージャーニーは、ロイヤル化・再購入まで? 「推奨」が当たり前の時代へ

今やマーケティング施策の情報発信元は、必ずしも企業が主役ではありません。
皆さんも、何か買うときは、SNSで検索をしたり、動画を見たりすることが当たり前になっていると思います。

企業からの発信も見るには見ますが、逆に参考程度で意思決定の決定打にはなりません。そういう背景での企業の施策は、一生懸命アピールすることよりも、既に繋がりのあるお客さんにいかに共感をしてもらって、自ら推奨をしてくれるようにするか、に軸足が移ります。

私たちも、いつもカスタマージャーニーを描きますが、ほとんどが「推奨」までをカバーする形になってきました。

KPIの設定も、単にコンバージョンレートを見るよりも、推奨度を表す「NPS(注1)」を用いることが圧倒的に増えています。

こういう時代になってくると、特定のイベントやメルマガからMA活用を開始するというアプローチから、既に接点のある顧客とのエンゲージメントを高めるところからスタートするケースが増えてきてもおかしくありません。

 

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以上、いくつかのケースをご紹介しましたが、MAが普及してきた今こそ、既成概念や事例にとらわれず、自ら考えた自社にあった使い方をすべきだと思います。

そのためにツール自体の本質や機能をよく理解し、決してツールに使われるのではなく、使いこなすことが必要になってきます。

一時的にうまく使っているということよりも、常にそういうことを考え続ける人・組織になることが、「MAが根付いた」という状態なのではないでしょうか。


(注1)NPS:「Net Promoter Score(ネットプロモータースコア)」の略で、顧客ロイヤルティを測る指標です。今まで計測が難しかった「企業やブランドに対してどれくらいの愛着や信頼があるか」を数値化することで、企業の顧客との接点における顧客体験の評価・改善に生かされています。

(執筆者:bainc)