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コンサルティングの現場から
~“フレームワーク”導入の勘所~

 

プロジェクトマネジメントにおけるPMBOKやITシステム運用におけるITIL等、世の中には「ガイドライン」や「フレームワーク」といわれるある程度標準化された方法論が数多くあります。昨今は企業にとってもITを使った新たな業務に取組むことが避けられなくなっており、それらにまつわる業務プロセスやルールを作るためのお手本として、そういったフレームワークが用いられます。

ただ、これらのフレームワークは、導入・活用することのメリットの方が強調されがちですが、導入・活用それ自体が容易ではありません。導入を試みたものの形だけに終わることも少なくないのではないでしょうか?ただ一方で、上手く活用しこれまでのやり方を変革、成果に結びつけているケースもあります。

一体、この差は何でしょうか。

いくつかのITIL導入プロジェクトに携わった経験から、筆者は以下の3つのポイントがフレームワークを導入する際の勘所であると考えています。

・導入のゴールとスコープを決める

・決めたスコープは徹底的にやりきる

・ゴールの達成度を見て改善する

以下、各ポイントについて見ていきましょう。

 

導入のゴールとスコープを決める

まず、導入することで何を達成するかというゴールを明確にし、それを忘れないよう、何度もそこに立ち返ることが重要です。また、フレームワークの全てを導入しようとしないこともポイントです。全てを導入しようとすると、導入自体が目的化してしまい、労力がやたらとかかる割に効果が出ないという事態に陥りやすいです。最初に設定したゴール達成のために必要なものが何かを見極め、スコープを定めることが重要になってきます。

具体的には、ITIL導入の場合、ITサービスの品質向上がゴールとなることが多いと思います。ただ、このレベルだと具体的に何を改善すればよいのか分からないので、課題をより詳細に分析し、もう一歩具体的なゴール設定をする必要があります。(IT部門のサービスレベル向上、システム障害件数の低減、等)

導入スコープの検討では、どこまでの範囲でITILを導入すれば、設定した具体的ゴールが達成できるかという観点で、導入スコープを絞り込んでいくアプローチが有効です。

 

決めたスコープは徹底的にやりきる

ゴールを設定し、そのためのスコープを定めた後は、徹底的にやりきることが大切です。そのフレームワークと、適用させようとしている業務のギャップは必ず存在するでしょう。そのギャップの扱いをどうするか決めるのが次のステップになります。フレームワークをベースに対象業務に合わせて再定義するというのも一つのやり方ですし、業務をフレームワークに完全に合わせるやり方もあるでしょう。

ITILの場合は、抽象的な部分も多いため、フレームワークに完全に合わせるやり方は向いておらず、それをベースとしつつ、自社の実情に合った枠組みを再定義する方がスムースにいくことが多いです。

再定義では、

・より具体的かつ実行可能な業務のレベルに落とし込むこと

・枠組みに沿って確実に業務が行われたか、繰り返しレビューをすること

がポイントになります。また、レビューしていく中で、実際の業務に適合しないポイントも出てくると思います。これらのずれをその都度調整していくことで、フレームワークが生きたものとして業務に根付いていくことが期待できます。

 

ゴールの達成度を見て改善する

最後に改めて強調したいのは、フレームワークの導入がゴールになってはいけないという点です。どの段階においても、当初設定したゴールを忘れてはいけません。ですので、先程述べた、レビューと都度の調整とは別に、定期的にゴールの達成度を測定・評価する必要があります。ゴールの達成度が思わしくない場合は、何らかの課題があると考えられます。課題を分析し、枠組みの抜本的な再定義やスコープの見直し等、必要な改善を実施していくことが大切です。

そうすることで、フレームワーク導入を形だけに終わらせるのでなく、実際の成果に結びつけることが可能となります。

 

 

何らかのフレームワークを新たに導入するのは、既存のやり方を変えていくことになるので、一朝一夕でできる話ではありません。また、導入してすぐに成果が出るものでもありません。そういった現実も踏まえつつ、上記の3つのポイントを粘り強く実行していくことが、真に成果につながるやり方だと筆者は考えます。

 

(執筆者:野中 翔)