2023.01.30

ESG経営とは?GXとの関連性や企業が取り組むメリットと課題を解説

はじめに
環境問題や人権問題がビジネスにおいても無視できない社会課題として認識される中、「ESG」という言葉を耳にする機会が増えたのではないでしょうか。ESGは今後の経済や企業価値に大きな影響を及ぼすキーワードです。GXを推進することでESG経営にどうつながっていくのか。市場規模が拡大するESG投資において、ESG経営を理解することはGXを推進する上でも非常に重要です。 今回は、注目されるESG経営とGXの関連性から企業が取り組むメリットと課題を解説していきます。

ESGとは?

ESGとは、企業が長期的に成長を遂げるための、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の頭文字で構成された言葉です。ESGは地球上の様々な社会課題に関わっており、あらゆる企業や個人にとって重要なテーマです。社会課題である環境問題では、カーボンニュートラル(Co2排出量削減)、人権問題では、労働者の待遇改善、ダイバーシティ&インクルージョン、サプライチェーン上の人権侵害などといったトピックなどがESGの経営指標の一環として特に重視されています。

ESG経営とGXの関連性

GXとは地球温暖化対策の1つであるカーボンニュートラルを基軸として、企業が環境保護と経済成長の両立を目指すビジネスにおけるグリーン戦略です。一方、ESGは上述した通り、3つの要素から構成された経営指標です。GXの取り組みは気候変動への具体的な取り組み(カーボンニュートラル/脱炭素)として、ESGの「E:環境(Environment)」に位置付きます。なので、GX実践はESG対応でもある、というわけです。ESGは世界の金融市場の40%を占めており、現在もその市場規模は拡大しています。 「企業経営には環境への配慮が必要である」という考えは、急速なスピードで広がっています。

ESG経営に取り組むメリット

GXとESG経営の関連性を理解したところで、ESG経営のメリットを解説していきます。

  1. 企業価値の向上
  2. ESG経営は自社の利益のみを追及するだけではなく、社会全体の問題である環境・人権問題にフォーカスを当てて積極的に取り組むことです。 社会課題に率先して取り組むことは企業としてのブランディングイメージ向上につながり、結果として顧客や取引先、投資家に対してポジティブな印象を与えることができます。 そのようにして、企業の社会的価値を向上し、顧客からの支持を仰ぐことで、最終的には業績アップの効果による持続可能な経営基盤を築くことができるでしょう。

  3. ESG投資における評価向上
  4. 環境問題や人権問題といった社会課題が経営における重要な指標の視点として組み込まれるようになって以来、ESGの達成度合や注力度を軸に、 投資家が企業を評価し、判断基準とすることがトレンドとなっています。そのような世の中の潮流の中、ESG経営の実践を企業として全面にアピールすることは、投資家目線の評価向上につながり、 安定的かつ、社会に貢献できるビジネスとして継続を目指せるようになるでしょう。

  5. 経営リスクの軽減
  6. GXやESGというと、中長期的な目標が必要となり、直接的な利益が見えにくいため、実践におけるリソースの配分自体がリスクと捉えられるかもしれません。 しかし、環境問題・人権問題・ガバナンスといったさまざまな視点から評価されることが主流となった今では、利益のみを追及し、社会的責任を果たさないこと自体がリスクになります。 なので、ESG経営を実践することで経営リスクを軽減できるということです。

  7. 労働環境の改善や整備促進
  8. ESG経営に取り組む過程で、おのずと社員にとって働きやすい環境整備が期待できます。 国際規範に沿った経営を行うことでダイバーシティ&インクルージョンの文化が波長され、ジェンダーやハラスメントなどの社会課題解決へ助長できます。 従業員の離職率を低下させることで、採用や育成のコスト削減、また優秀な社員の流出なども避けられます。 人材こそが企業の基盤であり、社員を守っていく企業文化のイメージは、さらなる人材の集結にもつながるでしょう。

ESG経営実践における課題

  1. 時間軸の長さ
  2. ESG経営は、短絡的な指標で成果を判断することが難しいです。 「社会において企業はどのように貢献ができるか」を問う長期的な目標であるが故に、施策に対する結果がすぐに得られません。 取り組みへのフィードバックを得ることにも定義と一定の指標が必要です。継続的な実践による成果を測るまでの時間軸の長さを考慮する必要があります。

  3. ESG経営における定義の統一化
  4. そもそも定義や価値基準を判断する確実性のある指標があいまいであることも課題としてあげられます。 決算情報や財務情報などの定量的な数値からはESG経営がうまくいっているかを判断することは困難です。 事業活動を通じて利益を創出しながら環境・社会・管理体制の課題に、どのように取り組んでいくか関連性を鑑みながら社内で定義の統一化をしなければなりません。

代表的なESG評価支援ソリューション

  1. Estoma(https://estoma.world)
  2. 日本初のESG開示支援・管理のSaasサービスとして誕生しました。 特徴は、低コストで、ESG業務を網羅的にサポートできる点です。ESG業務を効率化することで、具体的な削減アクションへのコミットできる環境を実現します。 CDPなどの代表的な開示外部評価をはじめ、TCDF(気候変動タスクフォース)など、広く使用されている開示枠組みへ対応可能です。

  3. Dataseed(https://dataseed.jp)
  4. Datassedは、本有数のAI企業であるRecursiveからスピンオフして誕生しました。 特徴としては、ESGデータ収集から情報開示支援、データの活用まで企業に沿ったトータル的にサポートをします。 ツールの提供のみならず、企業の状況に合わせて各領域専門家による導入支援・コンサルサルティングによる支援が可能であり、ESG経営高度化のステップが踏みやすいサービスを展開しています。

  5. Smart ESG(https://smartesg.jp)
  6. Cierpa&Companyが提供するESG情報開示支援クライドです。 独自ESGデータベースの構築、ESGデータ収集ワークフローの最適化、貯蓄データを整理するESGマトリクス機能、 ESG評価の向上を支援するAIベンチマーク分析を強みとしています。ダッシュボード機能、一括検索機能、翻訳機能も兼ね備えているため、 ユーザビリティが比較的高いことも特徴として挙げられるでしょう。

まとめ

今後、環境や人権配慮への注目は高まり、社会における企業のコミットメントは必要不可欠です。 欧州では、ESG以外にも環境・人権デューデリジェンス(DD)というESG評価を定めるようなルールの制定が開始されました。 欧州で事業活動を行う日本企業をはじめ、このような世界のルール形成は、今後、日本企業へ大いに影響があるでしょう。 ESGの観点の長期的な目標を立てることは容易ではありませんし、企業活動をする上で見過ごされてしまう要因の1つです。 しかし、上述したように、世界の流れはESG経営を鑑みたルール形成、情報開示、投資の判断基準となっています。 長期的・持続可能な企業成長のため、早々にESG経営を推進することが求められるでしょう。自社の社会における価値を明確にし、事業活動を通した貢献を目指すことが大切です。