2021.05.26

目的によるエンゲージメントプログラムとデフォルトプログラムの使い分け 【Marketo Tips】

自社リードに連続性をもったメールを送るケースを考えます。
一般に、ステップメールやナーチャリングメールと言われる、リードのセグメントや状況に応じて、各リードに最適なコンテンツを段階的に配信するケースですね。

 

同じコンテンツを一律に送るのではなく、1人1人の状況に合わせたコミュニケーションを実行することで、顧客との関係を強化することが可能になります。現実的には、完全にパーソナライズ化されたコンテンツを届けるのは困難なため、顧客アンケート結果などを基にした仮説ベースで、条件設定をし、いくつかのパターンに分けてシナリオを考えます。

 

Marketoを始めとするMAでは、自動的かつ効率的にコンテンツを配信/管理することができますが、
Marketoではどのようにプログラムを実装すれば、実現できるでしょうか。

結論としては、デフォルトプログラムまたはエンゲージメントプログラムで実装できます。

 

 

どちらのプログラムを選択するかは、大きく2つの観点(配信タイミング・今後のプログラム見直しの可能性)で考えます。具体的に見ていきましょう。

 

プログラムを考えるうえでの視点

1.配信タイミング

  • 配信日が、特定の日付(何日(週/月)目)であることに意味がある場合

デフォルトプログラムを選択してください。
デフォルトプログラムでは、スマートリストやスケジュール設定で具体的に配信日を指定できますが、エンゲージメントプログラムでは、曜日と時間の指定しかできません。

 

  • 継続的にコンタクトすることを重視し、その前後で配信できれば良い場合(厳密な配信タイミングの制御が不要な場合)

エンゲージメントプログラムをお勧めします。
エンゲージメントプログラムでは、プログラムの実装がしやすく、リードの状態を把握しやすい一方、デフォルトプログラムでは、原則として配信毎にプログラム/スマートキャンペーンが必要となり、全体的な傾向が見えづらい特徴があります。

エンゲージメントプログラムの場合、ストリーム(※)に入ってくるタイミングによって、ストリームでの1通目の配信タイミングが変わります。ケイデンスが毎週日曜に設定されている場合、土曜にストリームに入ってきた場合翌日に送信されますが、月曜に入ってきた場合は6日後の配信になります。

 

※ストリーム:エンゲージメントプログラム内のセグメント。
ストリームをリードの興味分野や検討ステージ(購入意欲・製品利用状況等)毎に複数用意し、指定の条件を満たした場合に次のストリームへ進む等の設定ができるため、各リードに適したメール配信などの処理が実現可能になる。

 

2.今後のプログラム見直し

  • 今後、プログラムやメールを追加する可能性がある場合

エンゲージメントプログラムをお勧めします。エンゲージメントプログラムは、メールの追加やプログラムの条件分岐の修正等がデフォルトプログラムに比べて柔軟に対応しやすいです。

エンゲージメントプログラムでは、ストリームにメールを配置するだけで追加できますが、デフォルトプログラムではスマートキャンペーンのフローに追加する必要があります。
デフォルトプログラムでは、他のメールとの整合(配信タイミングを見直すなど)に伴う、プログラム(配下のスマートキャンペーン)の修正が複数発生する可能性が高くなります。

 

実装するうえでのポイント(エンゲージメントプログラム)

では、エンゲージメントプログラムで実装するとした場合に、具体的にどのような点に留意して実装すればよいでしょうか。

  • ストリーム間での遷移条件

エンゲージメントプログラムでは、リードの状態や興味関心に応じて、複数ストリームを運用するケース(cold/warm/hot等)が多いです。
特にリードの購買意欲や製品・サービスの利用状況に応じて、ストリームを分ける場合は、リードがどのような条件を満たせば、次のストリームに移すのか、事前に整理しておく必要があります。基本的に、前のストリームに戻ることのないよう、矛盾が発生しない条件となっているか、確認しましょう。

具体的な遷移条件は、Marketoの利用シーンに依存します。
“新規顧客の獲得”の目的でMarketoを活用する場合は、セールスへの連携を考慮した遷移条件(併せて、アプローチの重要度を優先順位づけするためにスコアリングを実施するケースも)の検討が必要です。既存顧客との関係強化、クロスセル・アップセルを目的とする場合は、製品・サービスの利用状況に応じた遷移条件の検討が必要になります。

 

  • 後工程への意識

コンテンツ配信後の対応についても検討しておきましょう。

基本的に、エンゲージメントプログラムでのコンテンツ配信完了後も、プログラムにリードは蓄積されていきます。
後工程で別施策を動かす場合は、別ストリーム(配信完了ストリーム等)に移したり、スマートキャンペーンのフロー“エンゲージメントプログラム・ケイデンスを変更“で一時停止にするなど、配信完了後のリードに、別のコンテンツが意図せず配信されないように仕込んでおきましょう。

 

  • コンテンツ企画

エンゲージメントプログラムでは、複数メールを配信します。
理想としては、施策開始時に全てのコンテンツが揃っている状態ですが、仮に揃っていなくても、複数のストリームを用意しているケースなどでは、後フェーズのストリームで配信するコンテンツが間に合わなくても、プログラムを起動させて運用開始することは可能です。

コンテンツの作成については、事前に優先順位を整理して対応しましょう。

 

最後に

一度実装したプログラムでも、運用する過程で、より効果的な設定条件を思いついたり、社内の運用負荷軽減などの観点で、プログラム構成等を見直すケースはよくあります。

その際に重要なのは、“なぜそのプログラムにしたのか” “目的は何なのか”という全体感や施策の背景を再確認できることです。関係者で確認できるドキュメントも活用しましょう。

また、別施策との整合性も重要です。エンゲージメントプログラムとデフォルトプログラムの施策など、複数プログラムを組み合わせて、1シナリオとするケースもあると思います。
仮に、同一シナリオのデフォルトプログラムの施策を見直す場合は、エンゲージメントプログラムも見直しの必要性を検討すべきですし、別施策の実装内容を見直す場合、同じユーザーが複数の施策間で、違和感を抱いたり、ユーザー負荷(メールの配信数等)が高くならないか、検討する必要があります。

PDCAを効率的に回し、Marketo活用の幅を徐々に広げていきましょう。

 

記事を書いた人

板倉 和司