AI一色の今年

今年も残りわずかとなってきました。
そんななか、先日、Salesforce World Tourが東京でも行われ、基調講演程度ですが聴講して参りました。
ひとことでいうと、「AI一色」でしたね。
これまでは、モバイルやUI改善、それらに伴う開発ツールなど、これまでの延長線上の印象でしたが、今回の話は一つ階段を上がるもののように感じました。
営業やサービスの分野では、スタッフ向けに「今どこへ行けばよいか、何をすればよいか」という答えがパッと分かるという世界へ。
マーケティングの分野では、顧客の利便性を上げるためのものを先回りして提供するという世界へ。
いずれも現場では積年の課題だったし、魅力的なことだと思います。
 
このイベントに関わらず、今年はAIという言葉を聞かない日がないくらい、話題でした。
ビジネスの世界に身を置いている者としては、こういった新たなキーワードとどう向き合うか、はとても大事です。
なんとなく、AIだ、アインシュタインだ、ワトソンだ、、。これを使ってXXしよう、という表面的な向き合い方はもったいないです。
ビジネス系の役割の人であれば、この大きな流れのなかで、今どこにいるのか、何ができるのか、ということを本質レベルで理解しておくことが大事だと思います。
開発系の役割の人であれば、様々な製品・サービスに組み込まれてきて開発ツール化されたものを、どう扱っていくか、というステージへ。新たに覚えることも増えますね。(AI技術者として、というのは別としてです)
 
特に前者のビジネス系の人の向きあい方について少し補足すると、これは先に述べたように、ひとつ大きな階段を上る話であるという理解はしたいところです。
今年よく売れたビジネス書「<インターネット>の次にくるもの」は読まれた方も多いのではないでしょうか?
私が語るよりも、ここに分かりやすく記されています。プロローグあたりでも十分わかるかもしれません。
もう始まってしまっている未来なので、AIなんかもある前提(与件)として付き合わないといけなさそうです。
 
ではそれを与件として考えて、仕事のスタンスみたいなところで変化が求められることをひとついうと、「いいところを見つけて前に進む」というのはより重要になると思います。
従来は、新たなツールが登場しても、少しうまくいなかい部分があるとそこに目を向けてしまい、やらない、使わない方向に行ってしまうことはよくある意思決定でしたし、それでも大きな問題はなかったです。
なぜなら、それは、階段を上がるものではないので、別になくても何とかなるものだったから、がまずひとつ。
そしてもっと大事なのは、それ自体がいわば完成したものだったから、という性質上の理由でしょうか。
ところがこれからはそのスタンスは残念ながら改める必要がありそうです。
 
AIが入ってきて決定的に違うのは、ご存知のとおり「学習」があることです。
だから、最初だめでも「やめた」という選択はしないで、何ができるようになってきたか、を見ていかなくてはならないはずです。マネジメントや意思決定のスタンスは変えざるを得ませんね。
前述の従来スタンスは、つまり、子供に「勉強ができないから勉強しなくていい」といったり、会社の後輩に「まだ覚えてないから仕事しなくていい」というようなもの。
人にせよコンピュータにせよ、学習するという機能があると、これだとだめですよね。学力はつきませんし、できることも拡がらないし、これつまり、AI時代を乗りきれないということになってしまいます。
営業支援にAIが入ってきて、今ホットな顧客です、というアラートが出て、「こんなのポテンシャルあるわけないじゃん。役に立たないな!」という今にも聞こえてきそうな声は、もっと前向きなものに変えていきたいですね。
 
もうひとつだけ身近なところの話をしますと、「AIはクラウドとの相性がよい」というところの理解でしょうか。いやむしろ一体というべきですかね。
AIは要はデータなので、データを膨大に持っているクラウドは、まあ主役です。昔からGoogleがデータの帰属を言っていたのも今となってはよく分かるわけです。
それで今はもちろん、世の中は「クラウド時代」です。クラウドに接していない人はまずいないのではないでしょうか。
そうすると、クラウドを中心として、自分や自分の会社がどこに位置しているのか。その大きな雲のなかの人?ユーザーとして使う人?それを使ってビジネスをする人? どの立場かでメリット享受の仕方は変わってきます。
そこをしっかりと分かった上で適切な付き合い方をして、これからのAI時代を乗り切っていく必要がありますね。
 
ちなみに当社は以前から、自称、「クラウド時代のマネジメントパートナー」です。
かつては、自社システム vs 外部サービス活用、という観点でクラウドを捉えて、クラウドならではの業務改革やシステム導入のやり方の違いをポイントにしてきました。
しかし今後は、AI含めて「クラウドであるがゆえの多大なメリットをどう享受するか」が着眼点になってくると思っています。
たとえば、これまで営業活動で溜めてきたデータの活用を頑張ってきたけれど、それは活用可能な膨大なデータのごくごく一部になるかもしれません。そこに必死に時間をかけるべきなのか、といった問題提起が必要になるかもしれないし、業務プロセスもガラリと変えるべきかもしれません。
そんなことをよく見極めながら、我々自身もサービスのあり方を最適化していきたいと思います。
 
2017年も楽しみですね。大きな変化が訪れそうな気がします。

記事を書いた人

横山 彰吾