Marketing Nation Summit 2017

サンフランシスコで行われた、「Marketing Nation Summit」に参加をしてきました。

写真は会場向かいの巨大広告。

今回の会場、Moscone Centreという大会場を貸切り、世界的な注目度の高さが伺えます。参加者は6,500人。日本からの参加者も倍増していたそうです。

私もキーノートに加え、10以上のセッションに参加し、世界のマーケティングの潮流を体感してきました。

 

 

“Engegement Economy”


派手なオープニングに続き、新しいCEOであるスティーブ・ルーカス氏のキーノートから始まりました。

なんといっても今回のキーワードは“Engagement Economy”です。

昨年までは買い手主導になって購買行動が変わるので、、というMAニーズの喚起でしたが、もっとダイナミックなトーンです。

SNSで人々や人と企業が繋がり、顧客の日常に情報が氾濫するなかで、本当に顧客のことを理解して、心をつかみ、顧客側からその会社や製品と付き合いたいと思ってもらう、というのが軸になる考え方です。

そのために、Listen、Learn、Inspireというステップが必要。顧客に耳を傾け、データの分析を通じて学び、最適なアプローチを講じて気付きや刺激を与える。このモデルを提唱されていました。

素晴らしいCEOであることは誰がみても感じると思います。語り口は軽妙ですが、今のマーケティングをコミュニケーションの歴史のなかに位置づけるなど、中身は実は重厚で、一見勢いで片づけられそうなテーマですが、大企業の経営者に対してこそ説得力があると感じました。

また、その後の他のMarketo社のエグゼクティブの話にも一貫性があった点が、スティーブ氏がいかにビジョナリーであるかを表していたと思います。

 

マーケティング担当エグゼクティブへの影響力

また、セッションの特徴として、今回はAd関係一色の日の設定や、CMO・インフルエンサーを集めてのセッションが多く、マーケティングという軸で意思決定者を強く意識されていた印象です。

ブランドの重要性や、CMOのあり方、デジタルマーケティング時代の組織のあり方など、幅広いものです。

そのなかでキーワードとして良く出るのは、“Story Telling”。どういうお客さんで、どういうことをどんな流れで伝えるべきか。それがないと全ては始まらない。その位重要なものとして位置づいていました。

あとは組織面では、“MarTech”の存在が目立ちました。だいたいマーケティング部門の話のなかには出てきます。マーケティングとテクノロジーは切ってもきれないので、その分野のスキルは必ず必要。もうひとつの頻発ワードは、

“Analysis”

です。前述のとおり、Learnのために分析担当がいるのは当たり前のようです。

あとは依然として、営業含めた部門横断の取組みの必要性も語られていましたね。

これらすべて、組織にパワーがないとできないことなので、本当に顧客のマーケティングを変えていこうという考え抜かれたセッション構成だったと思います。

 

どのあたりが先進的か?

あとは日本と比較した感触です。これはずばり、まる1年(あるいはそれ以上)は進んでいるといったところです。当たり前ではありますが結構差があります。

そもそも前述の

“CMO”

という概念もポジションも、正直まだ日本では浸透していないですが、そのポジションがない会社はないのではないか?と思うくらい当たり前に語られていました。

また、グローバルでのMA活用を前提にした体制や機能分担の話もありました。私たちが現場でぶつかる課題は既にUSでは経験済みで、このあたりは、これから日本でもどんどん出てくる課題だと思います。

製品については、エクスペリエンス改善や機能改善があり、少しずつ紹介されていました。このテーマの話になると、参加者がどっと湧きます。アメリカだというのを差し引いても、理解度・活用度が高いユーザーの層の厚さのようなものを感じます。

製品の代表的新機能として、CMO含めた役割別のダッシュボードがあります。これでつねに測定・分析をしながら業務を行う前提になっています。KPIのなかには、マーケティングの域を少し超えたものも含んでデモでは紹介されていました。オープンプラットフォーム前提、データ連携前提というのも差を感じました。

“Predictive”も今後楽しみなキーワードとして位置づきます。つまりAIを使った学習でコンテンツを最適化することなのですが、ここでAIというワードを前面に出さないところがMarketoらしいと思いました。Predictiveを使った場合と使わない場合と比べて、得られるリードが6ヵ月時点で2倍という驚くべき効率向上の例が紹介されていました。

せっせとCJMやコンテンツを検証する必要性がなくなってくるかもしれません。

 

これからのマーケティングにじかに触れた貴重な4日間でした。

当社としては、これをお客さんへのバリューに転換していきたいと思います。

 

スペシャルゲストの、James Corden氏と、Queen Latifahさんも、イベントに花を添えていました。

 

記事を書いた人

横山 彰吾