体験価値はプライスレス

先日、あるお客さんからお仕事の声がかかり、当社のスタッフに「こんな仕事なんだよ」という話をしたところ、「はぁ、まったくイメージが湧きません・・・」と言われました。

たしかに、事業計画策定の支援でドキュメントも作らない、フィーもあいまい。というものだったので、タスクも手順も見えず、確かに分かりにくいなこれは・・・
と思いつつ、ここでひとつ気づきがありました。

 

最近よく聞く、「体験を提供する」という話です。

 

今、あちらこちらで、顧客体験、エクスペリエンス、体験価値・・・といった言葉を聞きますよね。

定番の例を挙げると、「スターバックス」。
もっと安くコーヒーを飲めるところはたくさんけれど、スタバにしかない体験やそこに属すること自体に、あえて対価を払っているんだ、というのが分かりやすい例です。

元々、モノを提供しない我々の業態も、「体験を売る」というのを意識するとしないでだいぶ違うな、ということに気づきました。

 

モノからコトへ、と最近またよく言われるようになりましたが、コトも実は2種類あります。「便益」か「体験」か。今までいい言葉がなくてうまく説明できなかったのですが、この言葉の登場のおかげで言語化できるようになりました。

例えば、マーケティングの教科書にある、顧客はドリルを欲しがっているのではなく、ドリルで穴をあけることを欲しているんだ。これは便益ですね。

まさに「モノではなくコト」。いいことだと思います。
でもこれは、いずれ、いかに安いドリルを使うかとか、いかに早く穴をあけるかとかの競争に陥り、効率性の追求になるのが目に見えています。

同じく、コトではありますが、「体験」はちょっと違うと思います。
要は、その人にとって価値があれば、コストの問題ではないです。そういう体験をいかにしてもらうか、というコト提供の姿です。

これがそっくりそのまま我々のコンサルティングの仕事に当てはまります。
ニーズに応えて決まったことをこなす工数仕事と、気付きや期待を工数に関係なく提供する仕事。

色んな仕事があってどれも意味のある仕事なので、良い悪いではありません。
ですが、どんな仕事でも「後者のエッセンス」があるのがコスト競争に陥らない道筋だと思います。

 

ただ、「体験を売ろう!」と言われても、実際どうするの? というのが悩ましいところ。
これはロジックやしくみでは解決できないのではないかと最近切に思います。

その人自身の価値観やセンス。結局はそういうところに行きつくのではないでしょうか?
同じことをしているようで、誰がやるかによって成果が全然違う、というシーンはよくあります。その違いを生み出す源泉のところです。

既に世の中、決まったことで勝負できる時代ではなくなってきている感があります。
論理的思考もコモディティ化していて、面白いことなんて出てきません。

誰もが持っている、価値観やその人自身のいいところ。これをいかに他の人の体験価値に変えられるかがこれからの世の中で肝心なことなのではないでしょうか。

誰もが必ず、いいところを持っているので、誰にでも可能性はあると思います。
それを本人が意識をすることで、おのずと体験価値の提供者になっていけると思います。

 

ちょっとしたことからの気づきですが、せっかくなので最近思うことを述べさせていただきました。
自分の立場としては、それぞれの良いところをプライスレスな価値に変えるきっかけになれるよう、これからの時代にあったマネジメントをしていきたいと思います。

もちろん自分自身が体験の提供者になるべく、人としての磨きをかけていくことが第一ですが。。

記事を書いた人

横山 彰吾