顧客理解を高めるデータ分析から検証までの3つのポイント
昨今、多くの企業でデジタルマーケティングへの取り組みが推進され、より高度なマーケティングが求められるようになってきています。
デジタルマーケティングは、従来までのオフラインでのマーケティングとは異なり、資料のダウンロード、メールの開封・クリック、WEBへの来訪など、デジタルでの接点における顧客行動をログとして残せることが特徴の一つです。
ですが、今までのようにメールの開封・クリックだけの数値を確認する、月次の資料ダウンロード数を確認するなど、各施策単体の効果分析だけでは、売上につながるマーケティングを実施しているとは、言えなくなってきています。何故なら、売上につながるマーケティングの実現には、「顧客の成功体験を中心としたマーケティングの実施」が不可欠だからです。
そのためには、顧客がどのような情報を求めてWEBに訪れ、どのような経緯を経て受注に至るのかなど、顧客理解を高めることが鍵となります。
今回は顧客理解を高めるために、どのようにデータを分析し、それをマーケティングに活用するのかを3つのポイントに絞って、説明していきます。
ポイント1.各デジタル接点から傾向を分析する
顧客の属性によって、デジタルでの行動に違いが見られることがよくあります。
例えば、製品やサービスでも初心者向けから上級者向けまでラインナップがある場合、初心者向けのものは使い方のWEBへの来訪が多く、上級者向けは機能面のWEBへの来訪が多いなど、よく見られるWEBや開封・クリックされるメールに違いが現れます。
その他にも大企業か中小企業か、どの業界・業種に属するか、流入経路はどこかなど、さまざまな属性要素によって、差異は生じます。
そういった違いが見えてきた中で、マトリックス分析などを行うことで、顧客理解に繋がります。
例えば、縦軸を製品の使用難易度、横軸をWEBへの来訪頻度で分析を行った場合を見てみましょう。
その結果、使用難易度が高いほどWEBへの来訪頻度が多い、という傾向に気付きます。それをさらに深堀し、製品を絞り込み、縦軸を使用歴の長さ、横軸をWEBへの来訪頻度などで分析することで、使用歴の長さによる来訪頻度に違いがあるのかなど、傾向がわかってきます。
このように全体の傾向から、さらに深堀を行った傾向分析を行うことで、顧客に対する理解が深まります。
ポイント2.分析結果から仮説を立てる
分析結果を元にして、単一セグメントを複数セグメントに分割していく流れは、大分理解頂けたのでないでしょうか。
セグメントごとにマーケティング施策を実施するのもいいのですが、この段階で仮説を立てることで、実施する目的やゴールイメージが明確になります。
例えば、使用歴が長い顧客で特定のページをよく見ている場合、「他社への乗り換えも含めて検討している可能性が高いのでは」といった仮説を立てることで、より高性能な製品を訴求する、などのアクションプランを立てることができます。
他社への乗り換えを防ぐことと目的が明確になることで、目的に沿ったアクションが複数あがってくることがあります。
ただ、その全てを実施するためには、時間もリソースも足りないこともあるので、実施難易度とインパクトを考えた上で実施可能な施策の絞り込みを行うことが重要です。
そうすることで、スピード感をもって実施することが可能になります。
ポイント3.実施したマーケティング施策を検証する
分析を行い、それを受けて仮説を立て、マーケティング施策を実施したままで終わっている場合は、分析した内容や仮説が活かしきれているとは言えません。
実施後3か月ごと、など定期的なタイミングで、施策を検証することが大切になります。
その際に検証のポイントの1つとなるのが、実施前に立てた仮説です。
例えば、先ほどの例で言えば「使用歴が長い顧客で特定のページをよく見ている場合、他社への乗り換えも含めて検討している可能性が高い」が、仮説に当たります。
施策として、より高性能な製品の訴求を行った場合、メール開封率・クリック率や訴求製品のWEBへの来訪回数、買い替え率などのデータを見ていくことで、検証を行っていきます。
検証時に見るべきデータは、実施後から3か月なのか1年なのかによって変わっていくために、実施する前にKPIを設定することで、スムーズな検証が可能になります。
「顧客に与えたい成功体験」を意識したマーケティング活動
顧客理解を高めることで、より効果的なマーケティングの実施が可能になります。
そのためには、実施しているマーケティング施策をどのような視点で分析を行い、分析結果をどのように意味づけ、仮説を立て、検証をしっかりフローに組み込んで、PDCAサイクルを回すことが重要になります。
今まで施策のみを分析していた、という状況でしたらマーケティング全体を通して、どのような成功体験を顧客に感じてほしいのかを、再度明確に考えて、それに沿ったデータ分析から始めてみてはいかがでしょうか。