• インタビュー

Marketo活用によるマーケティングプロセスのデジタル化推進

利用サービス:
Marketo開発・運用支援サービス 

クライアントデータ

ビジネスタイプ
B2B
社名
さくらインターネット株式会社
業種
IT
部門
インサイドセールス
規模
500〜5000名

※部署等は当時のものになります

  • 背景・課題

    顧客情報のリッチ化やスピード感あるシステム連携が、当時のMAツールでは実現できなかった

  • サービス内容

    Marketoへのリプレイス、またフォーム統一化の実施

  • 成果

    顧客情報が充実し、また、新規施策に対して迅速に対応ができるようになった

マーケティングプロセスにおけるMarketoの役割とは?

“「やりたいこと」を「できる」に変える”を企業理念に掲げ、1996年の創業以来、高品質かつ手軽なインターネットサービスを提供されてきた、さくらインターネット株式会社様。データセンター事業を主力としながら、近年では演算能力に特化したサービスやIoT分野への取り組みなど、新たなサービス展開を通じて、様々な企業へのビジネス支援を行われています。
今回は、同社の石井様、難波様、天野様に、2018年のMarketo導入当時からの振り返りに加え、更に今後のデジタルマーケティング展望に関してお話を伺いました。

「新しいことを迅速に柔軟に」Marketo導入で起きた変化とは

横山:
さくらインターネット様は、2018年に他のMAツールからMarketoへと切り替えられていますが、そもそもMAツール自体を導入しようと思われた背景は何だったのでしょうか。

石井様(以下敬称略):
以前のMAツール導入に関しては、私が担当者ではなかったため推測になりますが、主に名刺情報など獲得したリードに対してあまりアプローチが出来ていなかったので、MAツールを使ったメールマーケティングを実行したかったのだと思います。

蝦名:
当時は石井様が担当ではなかったんですね。どういう経緯でMAツールに関わるようになったのですか?

石井:
MAツールの利用にあたり、営業側の情報もあった方が良いという事で、当時、営業企画室で営業の案件管理や実績集計の仕組みづくりを担当をしていた私が入ることになり、その後、マーケティング部への異動に合わせて正式にMAツールも担当範囲となりました。

横山:
仕組みを整えていく時期ですか…大変な事も多かったんではないですか?

石井:
そうですね、連携が必要なツールも多かったですし、新しい取り組みを進めなければいけない時期だったのですが、当時のMAツールでは、その辺りを柔軟に対応できないという課題がありました。また、当時のMAツールは、ベンダー側に改修を依頼して修正するスタイルだったのですが、社外の方に自社ツールの仕様をお伝えして改修をお願いする事への難しさも感じていました。
そこでMAツールの切り替えを考え始め、Marketoの導入を決めました。

横山:
Marketo導入をしたことで問題意識として抱えていたことは解消されましたか?

石井:
はい、Marketoを入れたことで情報もリッチになり、社内で開発を行うようにしたこともあって、ツール連携もスムーズに出来るようになりました。スピード感を持ちながら新しいことに取り組めるようになったと感じています。

Marketo活用の肝 = Marketoの思想理解

横山:
蝦名さんがさくらインターネット様と初めてお会いしたのはいつ頃?

蝦名:
丁度、Marketoに切り替わった頃ですね。難波様も入られた時期だったかと思います。ご支援ではMarketoそのものの考え方や基本的な使い方等の説明をさせて頂きました。

横山:
石井様や難波様から見て、当時のビジネス アソシエイツの仕事ぶりは、どんな印象でしたか?

さくらインターネット株式会社 石井様

石井:
とても助かりました、というのが率直な感想です。
実はMarketoを導入した当初は、以前のMAツールの役割とあまり変わらず、その延長線上にあるものと考えていました。けれど、蝦名さんのお話を聞いて、出来る事は同じだけどアプローチの考え方が全然違う、と衝撃を受けました!

蝦名:
(笑)。逆にMarketoの考え方が根付いている自分にとっては、ご支援させて頂いている当時は「そんな風に見えているんだ!」と新鮮な感覚がありました。

横山:
Marketoはエンゲージメントの考え方が全般にあり、かなり思想的なツールですからね。Marketoの考え方を理解する事が、大切なのかもしれません。

難波様(以下敬称略):
以前のMAツールを使用していた頃は、施策はメールを1回打てば終わり、終わったらまた次の施策を…と、考えていました。そのため「色んな施策を通してトータル的にリードを育てていく必要がある」というMarketoのマインドを理解し身につけるまでに時間がかかりました。蝦名さんには、そこに至るまで手厚くフォローをして頂いたと感じています。

蝦名:
ありがとうございます。リプレイス前のMAツールのイメージがあったので、Marketo自体のご説明にはお時間をかけさせて頂きましたが、MAツールで出来ること自体の理解度は非常に高かったので、機能面での習熟スピードはとても早かったように覚えています。

横山:
少しでもお役に立てたようで安心しました。Marketo導入時に苦労したことなどはありましたか?

石井:
一番苦労したことは、やはりMarketoの考え方を理解する事ですね。次は、Marketoに沿ってどのようなストーリーで開発を進めていくかの社内検討。難波や当時のシステムメンバーにも入ってもらって頭を捻りました。

難波:
Marketoに切り替えた際、始めはメールクリックなどお客様の行動結果がすぐにわかることに驚きました。特にウェブアクティビティは、施策実行時には反応が無いリードであっても、数か月後のサイト回遊時にスコアリング対象とすることが出来るので、長期的な視点で見てMarketoは活用し甲斐があると気付きました。ただ、そこに気付くまでは苦労が大きかったですね。そこからは、設計方法がシンプルなこともあり、色々な施策を回すことが出来るようになりました。

石井:
以前のMAツールもMarketoも、リードに対して情報を追加していくという考え方は同じでしたので、最初の入口をしっかり蝦名様から教えてもらったことで、あとは社内でなんとかやっていけるな、と思えるようになりました。

横山:
なるほど、実務そのものとしてしっかりと理解されて進められているのですね。

単発施策の道具ではなく、マーケティングプロセスの一要素として

横山:
先ほど、Marketoに切り替えたことで、精度が高いデータがすぐ出せるようになったというお話もありましたが、その点で他部署からの反応はいかがでしたか?

石井:
前のMAツールを知っている人達からは「データが細かく出るようになったね!」という言葉をいくつか貰いましたね。

難波:
あとは、Marketoから生まれたHOTリードが契約に繋がった事があり、その時はMarketoが注目され、声を掛けてもらえたりもしました。

横山:
それは素晴らしい。営業方法に対しても変化をもたらしたのではないですか?

さくらインターネット株式会社 難波様

難波:
直接的な営業活動に変化があった訳ではありませんが、営業より前段階のアウトバウンドの時点で、行動ログを元にお客様の理解度を予め推測することが可能になったため、電話で確度の高い話ができるようになり、営業への送客がしやすくなりました。フローとして大事なステップを踏むことが出来るようになったなと思います。

石井:
現状は、マーケティングプロセスの中にMAツールなどのテクノロジーを利用する事ことが、営業部の中でも定着してきています。特に今期は、人的リソースをどのリードに向けて投入していくかのプライオリティ管理でMarketo活用していく方向に舵を取れていますね。

蝦名:
確かに、導入支援の時と今回のフォーム切り替え時では、プロセスにおけるMAツールの捉え方が変わられたなと感じていました。導入時は、一つ一つの施策を単発で実施されていた印象でしたが、今回は一貫したプロセスの流れの中でコントロールしようという意志が伝わってきました。

石井:
Marketoへの手ごたえを感じていく内に、プロセスに関して考えることが増えましたね。
以前は、メールの配信を行うという施策自体を重要視していましたが、現在はMarketoを活用することでメールの配信という施策だけでなく、プロセス全体に着眼点をおき重要視するようになりました。リードの獲得、ナーチャリング、営業への送客、そしてプライオリティ管理をどうやって行っていくのか意識して考えるようになりました。

最初に教えてもらったMarketoのやり方を意識して続けてきたことで、”単発施策ではなくプロセス全体を考えるあり方”へと徐々に移ってきたのだと感じています。

Marketoフォームへの切り替えで、点在するリードの入口を集約

石井:
フォームの切り替えは、丁度そんなMarketo活用が浸透してきた頃、他部署を巻き込んで今よりも上手くリードを取っていきたい、と考えているタイミングで始まりました。

横山:
元々あった十数個の既存フォームをMarketoフォームに移行するというお話でしたよね。その過程では、それぞれどんな役割分担で進めたのですか?

蝦名:
フォームの基本パターンはビジネス アソシエイツが制作し、詳細部分はさくらインターネット様の方で対応して頂きました。あとは、Marketoフォームでやりたいことに対しての実装検証を当社の方で行いました。私が今でも覚えているのが、アラートメール内でのテキスト改行に関する検証ですね(笑)

石井:
あれは、かなり大変でしたね(笑)

横山:
そんなに困難な検証だったんですか…?

蝦名:
コミュニティなどにも対策が掲載されておらず、その方法に行きつくまでに、海外の個人ブログから見つけ出しました。コーディング検証も必要でなかなか大変でしたね。

石井:
私は物事を変える時はタイミングがすごく重要だと考えていて、フォームの切り替えは、他部署と少しずつコミュニケーションをとっていく中で、やっと「変えたい」という意向を確認でき進めることを決めたところでした。なので、改行が出来ない問題は、正直かなり切羽詰まりましたね(笑)。
色んなMarketoを知っている人に問い合わせをしたのですが、唯一回答を出してくれたのが蝦名さんでした。出来たときは本当に安心しましたよ(笑)。

横山:
(笑)。そんなピンチを乗り越えながら、着々とフォーム移行を進めることで、リードをMarketoに集約できるようになったんですね。切り替え前の既存フォームは各部門で制作されていたんですか?

難波:
はい、それぞれのサービスチームで各フォームを作成して管理していました。
そのため、裏側の仕組みはMarketoに変わっても、既存の運用を変えないようにするという点は、切り替えの時にはとても気を遣っていましたね。

石井:
フォームは、各サービスチーム、web制作に関わるwebチーム、内部アラートを対応するサポートなど、多くのステークホルダーが関わっている部分なので、運用面や彼らの業務面で変化を出さないよう、Marketoをハブにして上手く調整するようにしました。

蝦名:
当社は直接関わる事はありませんでしたが、他部署との調整は大変だったのではないですか?

石井:
そうですね、各サービスチームとは難波、webチームは天野がそれぞれ頑張ってくれましたね。

横山:
天野さんの方では、フォームの切り替えにおいてどんな苦労がありましたか?

さくらインターネット株式会社 天野様

天野様(以下敬称略):
webチームへの依頼は、webチームで当たり前として考えられている知識や会話のプロトコルを理解しながら行う必要があったので、web関連の知識が無いと難しいなと感じました。

あとは、当社のガイドラインを踏まえて、「ここの業務はビジネスアソシエイツ様にお願いするべきか、それともさくらインターネットで対応できる範囲なのか」を自分なりに切り分けていたことも苦労した点です。

石井:
今回の切り替えは、Marketoフォームを当社のwebページに埋め込んでいく形だったので、天野が両者の間に立って、相当密にやり取りを行っていました。

横山:
各方面を巻き込んだ大仕事だったんですね。ただ、聞いていて、今回のMarketoフォーム移行が他部署とのコミュニケーションを活性化させたよう感じたのですが、その辺りはいかがでしょうか?

石井:
ここまで複数部署に渡って、一連の流れで中心的に関わるツールはあまりないですね。それに、フォームにおいては今後もMarketoで作りたいという依頼も頂くようになりました。
あと、フォーム入力された問い合わせ内容の確認は、csvなどに出力する必要があったのですが、今回、難波が業務支援ツール上で閲覧できる仕組みを入れてくれたので、相当見やすくなりました!これは大きな改革だと思っています。今後も社内でどんどん使ってもらえるように、広めていきたいと思います。

難波:
確かに、以前のフォームの時は問い合わせ内容を出すのに、かなり時間がかかっていました(笑)

横山:
フォーム移行を行った事で、難波さんの作業の効率化が出来たんですね。

難波:
はい、作業工数は減らすことが出来ました。あとは、結果的にですが、今までサービスチームのみで行っていたフォーム設計に私たちが関われたことで、カスタマー目線を取り入れることができるようになったのは、web上の顧客コミュニケーション作りの観点で良かったと思います。

潜在顧客から既存顧客まで。新たなステージに進んだMarketo活用

横山:
石井様は2019年に「Marketo Champion」を受賞されていますよね。受賞にあたっての感想を教えて頂けますか?

石井:
まさか受賞すると思っていなかったので驚きましたが、ありがたかったです。
何より、難波や天野、当時の他のメンバー、沢山のステークホルダーが協力してくれたおかげで出来上がった仕組みなので、本当に関わってくれた方々には感謝しています。

横山:
まさに、チームで勝ち取ったチャンピオンですね。今後の展望としてはどのように考えているのでしょうか?

石井:
色んな方が一緒にやってきてくれたおかげで、多くの知見も溜まってきましたし、現在は、それを活かして、入口でのリード獲得、契約までのナーチャリング、更に今後は既存顧客にもどうアプロ―チしていくかの検討を進めています。
トータルでのビジネスフローの中で、デジタル化を進め、プライオリティ管理を行って効果を上げていきたいですね。営業のルーティンにデジタルマーケティングをもっと入れていきたいです。

横山:
ありがとうございます。難波様や天野様は、展望や今後のチャレンジに関していかがでしょうか?

天野:
私の方では、事例サイトや外部メディアからリードを取得して、そこに対するナーチャリング施策を現在進めています。Marketoで出来る事も分かってきたので、今後は他部署と連携しながら、効果のあるセグメントを切った施策を行っていけたらと思います。

石井:
天野は営業を経験したこともあり、チームの中で一番お客様の気持ちを理解できているので、ランディングページを使って事例を出したり、ストーリー性をもったメール配信をしたり、今までのナーチャリングで出来ていなかった部分をどんどん推進してもらえたら嬉しいですね。

難波:
今までは、営業部の方が既存顧客とのリレーションシップ維持を行い、Marketoは潜在顧客へのアプローチやサポートにその立ち位置がありました。しかし、今期からは、既存顧客もナーチャリング対象としてフォローしていく、所謂カスタマーサクセスをMarketoが担う方向へと進んでいくことに決まりました。
そのため、現在設計しているMarketoとは異なる概念をいかに組み込むかが、直近の課題です。各流入・獲得源に応じた適切なアプローチができるように、Marketoで新たな取り組みを行っていく事が今後の目標と考えています。

石井:
先日、営業部のキックオフで、難波が「今までは営業部の情報をMarketoに与えてもらってばかりでしたが、これからはMarketoで得ている情報をお返しできるようになりたい」と話していて、感じるものがありましたね。そんな活動をこれから沢山行っていってくれるんだろうなと期待しています。

横山:
それは刺さる言葉ですね。お二人ともありがとうございました。では、最後に蝦名さんの方から、さくらインターネット様へ応援のメッセージをどうぞ。

蝦名:
本日お話を聞かせて頂きながら、獲得してから見込み化させるまでのプロセスが上手く描けてきているな、と感じていました。
今後は、天野さんが担当される商談化の確度を上げる施策であったり、難波さんの方でのカスタマーサクセス部分であったりが非常に重要になってくるかと思います。
特に、さくらインターネット様では製品内容が複雑という特徴がある点では、セグメント毎でのアプローチは中々チャレンジな面もありますが、そちらを乗り越える事で本当のライフサイクルが出来るようになると考えています。是非頑張ってください。

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