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“ポストコロナ”のマーケティングでより重要になるコンテンツの質 ~今こそ、コンテンツ戦略の再確認を~

コロナ禍は社会のさまざま分野で大きな変化を生んでいますが、マーケティングもその例外ではなく、これまでリアルの場でのマーケティング活動が中心であった企業も、否応なくオンラインの場に軸足を移し、デジタル接点の構築に躍起になっています。生活者はオンライン上でより多くの企業からのアプローチをさまざまなコンテンツによって受けるようになり、企業はより「選ばれるコンテンツ」を生み出すことが必要となっています。

我々がマーケティングオートメーションの導入の支援をさせていただく中でも、必ずと言っていいほどぶつかる課題のひとつに「ナーチャリングに用いるコンテンツをどう作るか」があります。

システムを導入し、操作方法を習得し、アプローチする顧客のリストを揃えても、当然のことながらコンテンツが揃っていなければマーケティングオートメーションの導入はスタートしません。残念ながらここは「自動化」も「おまかせ」もできない領域なのです。

さらにコンテンツは「とりあえず作って見せれば、自ずから読んでもらえるものではない」という前提があり、それ自体はご理解いただけると思いますが(みなさんもひとりの生活者として、日々目にするたくさんのコンテンツに、どのように対応しているかを思い出してください)、

とはいえ、文章を書いたり、写真を撮るなどして、コンテンツをただ形にするだけならそれなりの稼働をかければ出来てしまうため、マーケティングオートメーション導入の現場では、しくみを動かすための「とりあえず作られたコンテンツ」が量産されてしまうことが、実はよくあります。

「とりあえず作られたコンテンツ」はデジタルマーケティングの可能性の芽を摘む

筆者はデジタルマーケティングの現場でこのような「とりあえず作られてしまったコンテンツ」の引き起こす残念な例をずいぶん見てきました。

マーケティングファネルの「認知」に寄ったコンテンツばかりある、または「検討・購入」に寄ったものしかない。

これは、前者は「とにかくたくさんの人に見てもらいたい」、後者は「とにかく結果を出さなければ」という、どちらもマーケティングに真摯に取り組んだ結果として生み出されてしまう事が多い印象です。BtoC領域の商品・サービスでありがちです。

「コンテンツ」を作るつもりが「プレスリリース」を作ってしまっている

どちらも広義には「コンテンツ」と言う事も可能ですが、プレスリリースとは「企業の伝えたいことを簡潔にまとめたもの」。これは「企業が伝えたいこと」と「見込み顧客や生活者が知りたいこと」のギャップを「適切なコンテンツ」で埋めることでアプローチするコンテンツによるマーケティングの観点では適切でなく、「プレスリリースとしての精度」をいくら上げても、目下のマーケティング目的には沿いません。しかし、企業発信コンテンツを作る場合に、特にBtoB領域の商品・サービスおいて起こりがちな事であるのもまた事実です。

コンテンツを作るチームが出来て、コンテンツを作ること自体が目的になってしまう

 「とりあえずコンテンツをたくさん作らなければ」という思いが形になると、その効率化のため「コンテンツ制作チーム」のような組織が、多くの場合出来上がります。これ自体はもちろん適切な事ですが、得てして組織は出来上がった瞬間から「存在すること自体」が目的になりがちです。

その例にもれず、チームが存在をアピールするため「コンテンツを〇本作った」「アクセス数を〇〇稼いだ」果ては「コンテンツによる広告収入が〇円だ」などという、本質的でない指標ばかりに振り回されている例はよく見かけられます。

まあ、手段そのものが目的に化けてしまうという意味では、マーケティングオートメーションに限らず、SNSしかりCRMしかりで「〇〇マーケティング」という、マーケティングのトレンドが起こった際には、必ず起きてきた事のような気もしますが。。

このように、コンテンツに場当たり的に取り組むことは、期待された成果が生み出せずに施策の縮小やチームの解散などの憂き目に至るのはもちろん、デジタルマーケティングという取り組みそのものの否定につながる事も多く、企業として大きな損失と言わざるとえません。

また、これまで結果的に一定の成果を得られていた場合でも、冒頭にも述べたようにコロナ禍を経て、マーケティングにおけるオンラインという場とそこで触れるコンテンツの役割がより増している中、決して安心できる状況にはないと考えられます。

成果につながるコンテンツを生み出し続ける「戦略」の必要性

デジタルマーケティングを成功に導くため、「『とりあえず』ではなく『成否を分けるものとして』コンテンツに取り組むこと」の必要性が、お分かりいただけたと思います。

端的に言うと「良いコンテンツ」を作りましょう、作り続けましょう、という事になるのですが、その源は、ついつい思いがちな「文才やセンス」ではなく、「しっかりとしたコンテンツ制作戦略」です。戦略が示す方向性に沿って、良質なコンテンツを作り続けるしくみを確立することが大切です。

コンテンツ制作戦略を策定して目指すべきことは大きく2つの方向性があります。

全体としてコンテンツの「量」を達成

単純に数が揃っている、ということではなく、自社のマーケティングプロセスを分解し、マーケティングファネルや、カスタマージャーニーのどの位置にも対応するコンテンツが網羅されている、という状態を目指し、その結果、多数のコンテンツが出来上がる、という意味合いです。

各コンテンツの「質」を担保

質といっても「センスや才能を感じさせるか」を問うわけではなく「このコンテンツは、[1]見たくなる工夫があるか [2]見る前と、見た後で、ターゲットの商品に対する態度を変えられるか、言い換えると、カスタマージャーニーを前に進めているか」という視点で、マーケティングに寄与するための質を担保していく、という意味合いです。

これは「何を言うか」だけの話でなく、動画など表現手段が多様化した中で、「どのような手法で言うか」のチョイスまでも含めて「質」ととらえる事が大切です。特に[1]の「見たくなるかどうか」は、内容以前に世の発信方法のトレンド(ある人にアプローチする他の発信者がどうしているか)に目を配ることが欠かせません。

ポイントは自社のマーケティングプロセスを「ユーザー視点」で捉えなおすこと
先ほどコンテンツによるマーケティングのアプローチとは「企業が伝えたいこと」と「見込み顧客や生活者が知りたいこと」のギャップを「適切なコンテンツ」で埋めること、と書きました。

これは言い換えると「企業が考えるマーケティングファネルやカスタマージャーニーを、見込み顧客や生活者の視点でいったん捉えなおし、それに沿ってコンテンツを作ること」となります。

例えば、「商品の『認知』を生み出すコンテンツが必要」と言われても、なかなかコンテンツのアイデアが浮かばないかもしれませんが

「〇〇に困っていたところに、「この商品があると便利」と教えてもらってうれしい」と思わせるものを、〇〇のバリエーションでいろいろ書きましょう!と言われれば、たくさんのアイデアがわいてくる気がしませんか?

このような「ユーザー視点の捉えなおし」をスマートに行うことでで、さまざまなコンテンツを作るハードルがグッと下がり、その結果「量」と「質」を実現することが可能なのです。

次回は、「捉えなおし」を適切に行い、「良いコンテンツ」を生み出すプロセスを、より具体的にご紹介したいと思います。

(執筆者:古賀一巌)