【MOps概要編】“MOps”(マーケティングオペレーション)をどのように解釈すべきか?

デジタルマーケティングで、「MOps(マーケティングオペレーション)」というワードが注目を浴びてきています。
海外のマーケティング組織では普及しており、マーケティング組織として、デジタルを活用していくうえでは、気にするべきテーマではあります。
但し、コンサルティング会社やソリューションベンダーのマーケティングの一環として使われることもあり、若干バズワード的なところがあるのも否めません。

そんな「MOps」というワードについて、
概要編で、どのようなもので、どのように解釈すべきなのか?
実務編で、実際の現場での気づきも含めながら、どのように取り入れていくべきなのか?
の2本立てで、考えてみたいと思います。

まずは、概要編です。

デジタルマーケティングの裏方“MOps”

まず、MOpsとは、何なのか、一般的な説明からしていきたいと思います。

MOpsとは、その名の通り、マーケティングのオペレーションを管理する組織のことです。業務としては、ツールやシステムの管理やプロセスのマネジメント、ルール設計、データ分析・管理などを行います。
デジタルマーケティングが成熟した米国企業の多くでは、MOpsを組織や体制に組み込んで、マーケティングのオペレーションを整備しています。

上記の理想のマーケティング組織図で示すように、見込み顧客を獲得・育成するフィールドマーケティングの組織とは別に、それらが実行される仕組みやプロセスの運営・管理するMOpsを組織として設けています。
MOpsはフィールドマーケターが、効果的な施策実装やクリエイティブ制作に存分に注力できるための仕組みの構築・管理を行う裏方の役割としてイメージしてもらえるとよいかと思います。

よくある解釈のミスリード

MOpsという言葉自体がソリューションベンダーから用いられることもあり、ツールやシステム構築して、運用ができていることという解釈に捉えられがちではあります。
そうした解釈もあっている部分もありますが、本質的な捉え方ができていないと思います。

大事なのは、オペレーションという言葉を使っているくらいなので、“仕組化“ができているか?ということです。
ツールやシステムで効率化されていても、それが属人化されていては、MOpsを体現できていません。
理想の状態としては、プロセス化されたオペレーションに乗っていれば、業務ができる状態で、担当者がいなくなっても、同じスキルを持つ人がいれば、対応できるような状態です。
CMMI(能力成熟度モデル統合)でいうレベル4(定量的な管理)、レベル5(最適化)の状態に近いでしょう。

また、データとマーケティング活動の連動ができているか?も重要なポイントになります。
オペレーションを構築できていても、そこで集めたデータを活用して、改善できていなくては、オペレーション構築の真価を発揮できていません。

もともと、MOpsという概念自体は、ビッグデータを有効活用するための仕組み化を目指す「Big Ops」をマーケティングに適用したものです。
そのため、仕組みで集積したデータを活用して、マーケティング活動をよりよいものにしていく環境整備がMOpsとしては、重要になります。

ツール運用担当者を置いておければ、MOpsが実現するということでなく、
属人化しないような仕組みになっているか?
仕組みから得られたデータが管理され、マーケティング活動に活かせているか?
までを見据えておく必要があります。

MOpsの“いいところ取り”

「MOps(マーケティングオペレーションズ)」という言葉自体は、まだ一般的ではなく、社内に取り入れるのが難しいと感じることもあるかと思います。

しかし、テクノロジーを活用してプロセスを整備し、そこで得られたデータを活用できる基盤を構築することなど、MOpsの目的そのものは、デジタルマーケティングを実施する企業であれば、考えるべきテーマでしょう。

「MOps」はワードとして捉えるのでなく、どういう狙いで、どういう目的があるかという本質をとらえたうえで、自社の課題に沿った、MOpsのいいところ取りをしていけるとよいかと思います。

例えば、分析環境はあるものの、データを作ったPDCAが回せていない企業であれば、分析業務を設計して、それがPDCAとして回るような仕組みを整えていくといった行動に起こせると思います。
また、これからツールを導入していく企業であれば、「導入」だけを見据えるのでなく、属人化させない運用設計や取得できるデータの分析業務の計画なども、包括的に考えることに繋げられると思います。

MOpsという言葉を理解し、自社の業務のプロセスやデータマネジメントなどを見直していけるとよい機会になるはずです。

次回は、現場での気づきも含めて、より具体的にMOpsのいいところ取りがどのようにできるかを考えていきたいと思います。

記事を書いた人

大塚 友晴