デジタルマーケティング、デジタルエクスペリエンス等々、このように呼ばれる取組推進にあたり、ポイントとして挙げられる1つに、顧客視点で考えることが挙げられると思います。
ただ、いざやってみようと思っても、画面操作のユーザビリティなどは、自分が実体験することで同じような視点を持つことは可能ですが、メールや各種コンテンツを検討する上では難しいところも多いと思います。そこで今回は、もう少し掘り下げて、具体的にどういうことか取り上げます。
“購入”を例と取った場合の顧客視点
例えば、購入という行為を例にとってみましょう。
まず、皆さんが何かを買おうとした場合、何が良いと購入を決めるのでしょうか?
機能や費用感など、いろいろな要素が出てくるでしょう。
また、機能が良ければ良い・金額が安ければ良い、というものでもなく、その要素ごとに評価判断するための基準があります。場合によっては、組み合わせで判断ということもあると思います。
ただ、その基準も、自分の目的、置かれている状況含めた諸条件により変動するものです。
そのため、まずは下記のようなパラメータの組み合わせだととらえておきましょう。
- 目的・置かれている状況・立場などの諸条件(前提と言っても良い)
- 判断するための要素
- 各要素に対して評価・判断をするための根拠・基準
顧客視点で考えるというのは、諸条件(心情)を「理解」し、パラメータ・基準に「分解」した上で、今回行おうとしている取組の中では、どのように思われるだろうかと、自分なりに「再構築」してみることだと言えます。
顧客視点(別の方の視点)でみる思考が苦手な方の場合
- 興味観点・判断要素を理解できていない
- 前提条件がわからず、判断基準を合わせられない(分解しきれない)
- 今回の取組では、どのように考えるのがいいのかわからない(再構築できない)
ということが多いように思います。
例えば、特に専門的な機械メーカーの方ですと、自分の知識があるがために、お客様が若手でまだ知識がない方の視点を持ちづらかったりします。
ではどうするか?
判断要素・基準を知るために、顧客の声を集めていきます。
直接的なインタビュー・アンケートのほか、Web上の活動ログなども取得できるようであれば、活動内容を確認してみましょう。また営業担当者など顧客の声に接している人からのヒアリングもイメージがわきやすいです。
また、前提となる諸条件を考えるにあたって、役立つのがペルソナです。ペルソナを具体的に設定していると、顧客像を想像するためのインプットが増えますし、上記のような声を集める上でもどういった方々の声を聞くべきか、また当初想定してものと差がどうあるのかといった点が見えてくることから、こういう顧客はどういう行動をしそうかというのが考えやすくなります。
そういった活動で集まった情報を元に、何が判断基準になっているか、条件がどう揃うと、どういう判断をするのかというのをパターン化し、仮説として組み立てていきます。Webの活動は、追体験してみると、より自分の実感としてとらえることができると思います。
こういったパターン化を進めるには、できるだけ参考元となるデータも多いほうが検討はしやすくなります。
ただ、気をつけるべきポイントがあります。
どうしても自分ならではの考え・判断プロセス・利害にとらわれやすいものです。常に客観的に引いた視点から、「顧客だとどう考えるか」ということを意識するようにしていきましょう。
また、組み立てた仮説はあくまで仮説です。そのため、考えた顧客像の「検討」に時間をかけ過ぎるのではなく、できるだけ何かしらの施策と共に検証・精査に時間をかけていくほうが良いです。
こういった考え方も筋肉と一緒で経験の積み重ねです。なぜ、こういった行動をするのだろう?と内容を掘り下げていくことで、より顧客の内在していた課題が見えてきて、顧客に新たな視点の提示をしていくことも可能になると思います。積極的に顧客視点を意識して取り組んでいきましょう。