トヨタとNTTの業務資本提携からDXを考える

こんにちは!ビジネス アソシエイツの近藤です。

段々日差しが暖かくなってきましたね。2020年も、もう1/4が経過しました。

もうすぐ、DX Labが発足して半年になります。当初と比較すると、社会情勢が様変わりしていますよね。DX関連でも、当初は技術提携や実証実験、製品や事象ピンポイントでのデジタル化のニュースが多かったように感じますが、最近はより大きな括りでのニュースが多くなったように感じます。

24日に発表された、トヨタとNTTのスマートシティ事業における業務資本提携は、インパクトがある話だったと思います。大手企業がプラットフォーム基盤をつくり、参画企業やユーザーと共創関係を築くというビジネスモデルは、もうあらゆる分野で見かけますよね。既存製品を軸に関係を広げる企業もあれば、従来他の業界にいた企業と提携し、ビジネスの新領域に乗り出す企業も見受けられます。

そういったニュースを見ていると、今までとフェーズが変わってきたのかな、という印象を受けます。以前は、既存の事業領域をどのように活用して、プラットフォーマーとして名乗りを上げるか、業界のリーダーとしてどのように先陣を切るかという段階でしたが、最近は、有望なプラットフォームにいかに乗り遅れないか、という段階も加わって、より多くの企業が他人ごとではなくなってきているように感じました。

もちろん、業界によって(今の時代に業界というワードでくくるのもナンセンスな感じはしますが)、状況が違うので一概には言えないのですが…プラットフォーマーとしての波、参画企業としての波に乗り遅れた時に、二極化が待ち受けているのが少し心配です。

 

だいぶ前置きが長くなりましたが…(笑)

トヨタは、NTTとの資本提携の数か月前に、静岡県裾野市で「ウーブン・シティ(Woven City)」と呼ばれる実験都市を開発するプロジェクトを発表しました。

トヨタらしく、スマートシティの中でも特にモビリティ要素が強いように感じます。
企業視点で見ると、実験都市を自社の工場跡地に建設することは、注目ポイントの一つではないかと思います。なぜなら、私有地での実験により法的リスクを低減させられる可能性があるからです。

 

既にAI・IoTを活用している企業の方はご存じかと思いますが、DXを進めるうえであらゆる法的問題にあたります。従来の法律は対象が人であることを前提に作られていたので、AIやロボットの場合はどうなるのか?というところまで整備できていないのが現状のようです。自動運転についても、様々な法的問題が存在しています。

皆さんの記憶に新しいところを持ち出すと、2018年にテスラ社の自動運転車が中央分離帯に衝突し、死亡事故を起こしましたね。オートパイロット機能を利用している際の事故だったため、責任の所在が問題になりました。

また、そもそも日本ではジュネーブ条約により、レベル3(アクセル・ハンドル・ブレーキの操作をシステムが行い、システムが要請したときは人間が対応)以上の自動運転車を公道で走行させてはならないことになっています。その点、トヨタは私有地での実証実験により、法的規制をクリアできますね。
※今年の5月に施行される改正道路交通法により、レベル3の自動運転車が公道を走れるようになるようです。

法的問題以外だと、自動運転車が緊急時にどのような選択をするかのプログラミングの問題もあります。トロッコ問題は多くの方がご存じだと思いますが、自動運転のプログラミング設計においても、まさに同じような問題に直面しています。
これに関して、マサチューセッツ工科大学の研究チームがモラル・マシンという調査を実施しているので、興味のある方は是非回答してみてください。自分の回答へのフィードバックもあり面白かったです。

 

このように、明確な答えと対処法が出ていない問題が多くあるので、いきなり公道での実験は中々リスキーですよね。
こういった問題はリーダー企業ならではの悩みだと思いますし、こうした問題に対処できるのも資金力のあるリーダー企業ならではだと思います。

 

なんだか少し夢のない話になってしまいましたが(笑)、各企業が着々とDXの波に乗っているのを感じます。数十年前に描いていたような未来図も、意外と近いところにあるのかもしれませんね!

それでは、次回もよろしくお願いします!(^^)!

記事を書いた人

近藤 明香里