サイト回遊を促進させるために検討すべきポイント

みなさま、こんにちは。
コンサルタントの大塚です。

このところ、顧客接点の重要な要素の1つであるWebサイトの改修についてご相談いただく機会が増えてきております。
その中でも、コンテンツを見てもらうことで、製品への興味・活用度を上げ、最終的には購入につなげたい、という“回遊してもらうこと”を目的としたWebサイトでは、直接的な数値目標が立てづらく、どこから改修したらよいかわからない、といった悩みをお聞きします。

今回はそういった“回遊してもらうこと”を目的としたWebサイトの改修に携わってみて気づいたポイントを2つご紹介したいと思います。

ポイント1:ユーザー体験の整理から課題の特定を行う

ユーザーに不便なくサイト内を回遊してもらうためには“ユーザー体験の整理”が1つのポイントになります。
具体的にはサイトへの流入、離脱ポイントの分析を行うと、現状の課題が見えてきます。

例えば今回携わったサイトはBtoC向け製品を扱っており、サイトを通し、製品プロモーションと活用の促進を目指していました。また、グローバルでも販売されている製品のため、日々一定数のアクセスはあるものの、離脱率が高いということで、まずはユーザー体験について現状課題の調査を行いました。

アクセス分析ツールにより、流入してきたユーザーの属性やページごとの離脱率など、データを定量的に分析し、見えてきたユーザーの動きをカスタマージャーニーでまとめ、見える化していきました。
その結果見えてきたユーザーが抱える課題について、クライアント様と共に議論し、適したコンテンツを提供できているか、定性面からの整理に役立てました。

今回のケースでは、ユーザーがサイト内で見たいと思えるコンテンツへ次々に遷移できるよう、サイト構成から見直し、コンテンツ内への関連ページやリンクの設置を含む、ユーザーにとって快適な回遊導線を実現するための施策を実行することができました。

手段や具体的な施策を検討する前に、まずはユーザー体験を見える化し、どのような提供価値が求められているかを整理したことで、分析から施策の検討、実行まで、目指す方向をぶらさず検討を進めることができました。

ポイント2:他社サイトを参考に、サイト内導線を複数設置する

コンテンツ遷移を促す工夫については、他社サイトのリサーチをしてみることで新たな気付きを得ることが可能です。

一般的に他社リサーチというと、競合製品のサイトを見ることが多いかと思います。
同業種のサイトも比較することで参考になる部分は多いですが、より参考になる情報を取り入れるために、他業界のサイトを参考にすることがポイントとなります。

自社サイトの分析だけでは、自分たちが持っていた視点の範囲での施策の検討になってしまいがちですが、他社リサーチより別の施策案を持つことができます。

今回のケースでも最初は同業他社のサイトばかり見ていたのですが、大きな差はなく、新たな施策に行き詰まっていました。
そこで自社商品の特徴を挙げ、それと類似する商品をピックアップしてみることで、参考にすべきサイトを見つけることに成功しました。
他社をリストアップする際は、生活必需品かどうか、趣味嗜好品かどうか、値段は高価なものか、買い替えサイクルが早いものか、利用するために知識や技術が必要か等の視点から探してみると、非常に意味のある調査になります。

例えば今回のケースでいうと、コンテンツをただ配置するのでなく、「○○な人向け」、「○○に困ったときは」のようにターゲットを絞った導線を設け、該当するコンテンツを集約する工夫がされていることがわかりました。既存コンテンツは活かしつつ、サイト訪問時に、自分が見たいコンテンツがすぐに見つかる構成にしていたのです。

クライアント様とサイト改修の検討を始めた当初は膨大にあるコンテンツそれぞれに、リンクや関連ページを設置することは現実的ではないと考えていました。しかし、他社調査を通し、導線設置の有効性に気付き、トップページの大幅な改修を含む施策を優先的に検討することになりました。

具体的にはまず、他社サイトで設置されていたコンテンツ遷移への導線切り口を、自社サイトでも設置するとどうなるかイメージを作成しました。その上でユーザーにとって効果の高いもの、クライアント様にとって積極的に取り組みたいものについて整理し、優先度の高いものから順番に施策を実行していきました。
既存コンテンツをそのまま活かし、コンテンツへの導線切り口を増やすだけで、見たいコンテンツを見つけやすくできる、優れたユーザー体験を実現することができました。

最後に

今回は、サイトの回遊を促進させる上でのポイントを、実例とあわせてご紹介しました。

自分も事例で取り上げた案件を通じて、特定の施策ありきで考えるのでなく、どこに課題があり、どのようなユーザー体験を提供すべきかといった目的から考えることが非常に大事だと改めて感じました。
読者の皆さんも、Webサイト改修する際には、現状のユーザー視点で課題となる点はどこかを検証していくことで、よりビジネスの加速をうながすWebサイト構築に繋げられると思います。
是非試してみてください。

記事を書いた人

大塚 友晴