マーケティングオペレーション体制構築におけるポイント

今や、マーケティングオートメーションの取組は一般化しており、自社内でMOpsと称される、運用体制を作られている企業も多いかと思います。
このようなマーケティングオペレーション体制の構築にあたって、おさえておきたいポイントというのがあります。

1. 品質管理
2. 資料フォーマット化
3. 新規情報の獲得

もちろん他にもポイントはありますが、今回はこういった取組を専門的に行ってきていないとなかなか気づかない点に絞って説明していきます。

1. 品質管理

システム開発経験のある方などは、テスト・動作検証方法に精通していることが多いかもしれませんが、そのような経験がない場合、品質管理に関する知識が不足していることがよくあります。
例えば、正しく動作するケースのほか、動作してはいけない場合は動作しないことまで本来確認としてはするべきですが、正しく動作するケースのみ確認を行っている、などはよくあるケースです。
(動作検証については、別コラムにてご説明しているものがありますので、そちら もご参照ください)

動作検証だけではなく、品質を管理するための仕組みを作る、という観点も一定規模の体制になってくると重要です。この動作検証をプロセスとして組み込むなど、実施の進め方についての標準化もポイントとなります。プロセスやタスクを文書化して標準を定めると共に、メンバーが同じ基準に従うようにします。これにより、品質の一貫性が確保されていきます。

また、作って終わりではなく、継続的に理解を確認するための教育も不可欠です。メンバーが品質管理の重要性を理解し、実践できるようにするために、継続的なトレーニングや確認する場を設けていくと良いでしょう。
そのために、プロジェクト管理ツールやクラウドベースのドキュメント共有プラットフォームを活用したコミュニケーション基盤として構築し、文書化された業務標準などはそこで管理していくようにすると、効率的な管理も可能になります。

2. 資料フォーマット化

マーケティングオペレーション業務を遂行する上では、要件定義書、設計書、レポートなどの資料は欠かせません。
このような資料は、施策傾向・作成者の考え方などにもより、書くべきポイントや粒度も人によってさまざまなレベルでの内容になりがちです。ただ、このような状態では、品質管理やタスクの効率性という観点で問題が起こりがちです。
そのため、先に述べた品質管理を行う上でのタスク標準化とあわせて、作成すべき資料もテンプレート化させておきましょう。
テンプレートを使用すると、資料作成の手順が明確になるため、作業の無駄を削減できるだけでなく、必要な情報が落ちるリスクも最小限に抑えることができます。

取組が進んでいくと、「こういうことはできないか」ということで知識がない方からの相談・依頼も発生してくることもよくあります。知識がない方ですと、そもそもどういうことを伝えればよいかがわかっていないことが多いです。そのような場合には、依頼フォーマットなども準備しておくと、おさえるべき観点が伝わりやすいため、コミュニケーションがしやすくなります。

なお、資料フォーマット化を進めても、内容更新や個別事情の反映などもあり、テンプレートにもかかわらず、微妙なバージョン違いが複数発生することが多々あります。
そのため、テンプレートの履歴管理もあわせて行い、どれをマスターとするか、上記のコミュニケーション基盤において、わかりやすくしておくことも重要です。

3. 新規情報の獲得

運用を進める中で、施策内容がある程度パターン化されることはよくあります。その際によく発生するケースとしては、担当者の変更などがあると、新しいメンバーに対して「今やっていること」だけが引き継がれ、これまで実装されていなかった施策や機能についての説明が不足することです。

そのため、外部トレーニングやウェビナーなどの外部リソースを積極的に利用することで、最新の機能やベストプラクティスにアクセスし、新しい情報とアイデアを取り入れていきましょう。また、内部のメンバー同士でも、得た知見の情報共有を行い、新しい情報やアイデアの収集を促進させていきましょう。

また、過去行った施策もドキュメントとして形式知化されていないことも多々あります。過去の取組資料(設計書だけでなく検討資料なども含めて)をコラボレーション基盤に蓄積していくようにしておき、後からの参画者でも情報取得しやすいようにしておくことも大切です。

これらのポイントを実践していくことで、一定の品質を維持しながら、マーケティングオペレーション体制の拡大・スキル強化が可能になります。
日々の運用業務でいっぱいになってしまって、このような点まで手がまわらないことも多い思いますが、ちょっとしたひと手間かけるだけでもできることもありますので、是非実践していきましょう。

今回は、マーケティングオペレーション体制構築の基本ポイントを紹介しました。次回の記事では、これらのポイントをより詳細に掘り下げ、成功するための具体的な戦略やヒントについてお伝えします。

記事を書いた人

蝦名 祥征