マーケティング効果を飛躍的に向上させる!? ストーリーテリングの視点を活かしてカスタマージャーニーマップを作成(後編)
前編では、デジタルマーケティングとの親和性が高い、ストーリーテリングの説明をしました。マーケティングで重要な要素の一つである「人の心を動かす」ということに非常に優れているストーリーテリングを活かし、精度の高いCJM(カスタマージャーニーマップ)の作成方法をお伝えしています。
前回までに、「仮説としてのCJM」の作成方法をお話しましたが、今回は、それを更にブラッシュアップさせる方法に入ります。
仮説としてのカスタマージャーニーマップを完成版へ近づけるために必要なこと
「仮説としてのCJM」から、「完成版」を作るためにはどうすればよいでしょうか?
実際には、完成版を作成することは困難です。しかし、仮説版を検証し、ブラッシュアップすることにより、完成版へ近づけることは可能です。
ここで次のステップとして必要となることは、「検証」です。
どのように検証すればよいか、どうすればよりお客様の気持ちを理解し、CJMへ反映させることができるか。
正解は「お客様に直接確認する」です。
当たり前のお話ですが、そうなのです。お客様に確認します。
お客様に確認するのは躊躇されることと思います。
実際には、思い切って大がかりなアンケートやインタビューを実施し、お客様の傾向を分析する方もいます。しかし、ご存知の通り、それなりに人員や予算が無ければ難しいです。
ここで私がお勧めしたいことは、もっと簡単にCJMの精度を向上する方法です。
まずは小さく2~3名規模の人数でアンケートもしくはインタビューを実施してみませんか?ということです。これだけでもCJMの精度が飛躍的に向上します。
「それだけ少ない人数であれば聞いても意味が無いよ!」と思われるかもしれませんが、私の経験上、目からウロコといった回答を得られることが多いです。少人数のアンケートやインタビューを実施する度に、自分がお客様のことを理解していなかったと思い知らされます。
企業が予想している以上にお客様は様々な情報に触れており、特定のコミュニティ内で情報交換されているなど、実際にお話を伺うことで見えてくる事実があります。
そしてもう一点。
この小規模でのアンケートもしくはインタビューは定期的に実施することを強くお勧めします。
お客様の気持ちは、時間や環境の変化とともに移り行くものです。いつまでも以前お伺いしたお客様の声を参考にするのではなく、「今」のお客様の声を聞き、CJMへ反映し、ブラッシュアップし続けることが重要です。
ストーリーテリングの視点から既存のマーケティング施策を見直し
小規模なアンケートやインタビューを通して理解したお客様の気持ちを反映することで、完成度の高いCJMができます。ここまでで一苦労ですが、これからCJMを活用することが本題です。
お客様の気持ちの移り変わりに沿って、適切なタイミングで適切なアプローチができているか?という見直しに移ります。
この際に必要となるものが、ストーリーテリングの視点です。
この視点を忘れることで、特定の段階(購入意欲が低い状態など)におけるお客様へのアプローチなど、単発のマーケティング施策(全体を通したアプローチができていないもの)に偏りかねません。もし、購入意欲をある程度高めることができたとしても、その先の施策が無ければ、目標とする状態までお客様の気持ちを動かすことは難しいです。
CJM全体を通してストーリーを組み立てるという視点を持つことで、途切れ途切れとなるような単発の施策ではなく、施策間に相乗効果を持たせることを意識できるようになります。お客様との接点全体を通して、どのようなストーリーで心を動かすのか(購買意欲を促すのか)?また、各接点でお客様の気持ちをどこまで高めるのか?ストーリー思考を活用して施策やコンテンツ作成が重要となります。
実際にストーリー思考を用いたコンテンツの作成方法はこちらをご参照ください。(ストーリー思考で顧客から選ばれ続けるコンテンツを作りませんか?)
今後も注目度が増すことが予想される「ストーリーテリング」ですが、その重要性は伝わりましたでしょうか。
マーケティングでは、人の心を動かし、製品への購買意欲や企業へのロイヤリティを向上してもらうことが求められています。それを実現するために、アンケートやインタビューを繰り返して作成した精度の高いCJMを用い、その内容に沿った形でマーケティング施策を検討する必要があります。どのようなストーリーでお客様を導くのか、マーケティング担当者の腕の見せ所です。
この機会に、ストーリーテリングの視点を持って施策を検討できているか見直されてはいかがでしょうか?