ホワイトボードの使い方:その1

こんにちは。代表の横山です。
みなさんお仕事でホワイトボードをよく使われますか? おそらく人によってまちまちだと思いますが、ホワイトボード自体は、みなさんのオフィス、会議室には必ずあると思います。
昨今のワークスタイルは、必ずしもPCに向かうシーンばかりではなく、複数名で何かを生み出すためのアクティブな方法も増えてきています。流行りのデザイン思考も、必ずプロセス上に、皆で集まって、フリーハンドでやりとりするシーンが存在します。
そこでなくてはならないツールが「ホワイトボード」なのですが、これをうまく使えるかどうか、というのが仕事の成果を大きく左右します。
 
今に始まった話ではなく、コンサルティングの世界では、早くから突出したホワイトボードの「使い手」がいました。
私も若い頃に、お客さんを交えてディスカッションをしていたときに衝撃的な光景を目にしたことがあります。
たしか営業支援の案件で、支店長さんが集まった会議か何かで、「こんな顧客でこういう売り方して、、」という話を、参加者それぞれ好き勝手に言いだしました。
もう私は、準備した資料は全く役に立たず、何が何だか分からなくて、この場をどう収束すればいいものやらと慌てていたのですが、そこで先輩がおもむろに立ち上り、ホワイトボードの、それも変な位置に、ずいぶんと行間をあけて何か書き始めました。たしか顧客の属性に関わることだったと思います。
「今言っているのは、こういうことですね」とか言いながら。まあ間違ってはいないですが、何をし始めるんだ??という雰囲気。
その後、みるみるうちに、そのランダムに書かれたものが、ひとつのマトリックスに収れんしていって、気が付いたら見事な顧客セグメントのチャートが出来あがってきました。
その先輩は話を聞きながら、「どういう軸で顧客を見る話をしているか」を整理し、その仮説が頭に描かれ、それを参加者のスピードにあわせて段階的に理解できるように、順を追って書きあげたわけです。
その一撃で、参加者はみな「私がいいたいのはこういうことだ」と一様に合意し(笑)、皆の「言いたい放題」というパーツが、ひとつの「考え方(つまり経営のしくみ)」として確立したのです。
「ホワイトボードってこうやって使うんだ」と現場経験を通して知り、それまでメモ書き程度にしか考えていなかった自分のレベルの低さを痛感した記憶があります。
 
その後月日が経ち、私自身、場数を踏んで、ホワイトボードはかなり使う方になりましたが、こういった原体験が自分のなかでのボトムラインになっています。
今でも気を付けていることをいうと、
・最終的な「まとめの姿」を頭に置いておく(大正解でなくて、仮説で十分)
・議論で出てきた話がどこに位置づくかを考えておく
まずはこれら頭の中の話。
前述のマトリックスのような小難しいものではなくてもよくて、たとえば、大きなフローがあって、そのなかの2ステップ目のところに位置づくことだ、とかでもいいです。もちろん手元に一度書いたほうがイメージしやすいですね。
 
次は行動。実際立ち上ってマーカーを持ってから・・・
・誰かの発言やキーとなることを、ホワイトボードの「どこに書くか」「どんな大きさで書くか」
・書きだしたものを、因果関係や構造などで、つなげてみる
例えば、①「こんなデータがあって」、②「こんなことが言えます」、という内容を書きだす場合、おそらく左から①→②へとつないだ方がいいでしょう。
でもそこで①を右端にメモ程度に書いてしまうと、その右に何も書けなくて、論理の話をしたいのに現象の話で終わってしまいます(笑)。
さらに、その①→②を支える、土台となる考え方「③」があったとします。そうすると、①→②の下に③を書いて、下から「↑↑↑」こんな感じで描ければ、③の考え方のもとで、現象①から②であることがいえる。という仮説が完成します。
お察しのとおり、ここで言いたいのは、この①→②が、座ったまま書いたからか、ボードの一番下にあったら③の行き場がなく、言いたいことを上手に書けませんよね。
「表」のような形で整理する場合でも同様です。大事なことが書ききれなくて切れてしまうような位置関係は、ちょっと残念。。。ダサいな~と笑われているかもしれませんが、いやいや、こういうのは結構あるんですよ。
半歩先を自分だけ考えて、ほんの少し書き方を工夫する。こういうちょっとしたことを、知っているかどうか、やるかどうか、につきます。
 
ここまで、自分が気にしていることとして述べさせていただきましたが、他人が書きだす場合でも、この「最初のひとことをどこに書くか」を私はよく見ます。
あ、こういう考えをもって整理しようとしているな、というのが分かれば、そのフレームワークに沿って参加者としてサポートが出来ます。
私は、議論の場で「ホワイトボードに書く人」をリスペクトします。いちばんえらいと思います。なぜなら、正しい使い方をしていれば、その人が実質その議論をナビゲートしているのと一緒だからです。タイトルもロールも関係ありません。
「なぜか話がうまくまとまるな」というファシリテータがいたら、きっと周りの人には全く気付かれずに、上手に仮説立案とまとめをしてくれているのだと思います。こうなってくると、仕事人としてクールですね。
 
今日は、全体を頭に描いて整理をしていくことの必要性を書きました。
ホワイトボード使いには、いくつか重要なスキルがあると思っていますが、今日の話は基本と位置付けていいでしょう。
見た目はキレイでなくても、このあたりが出来れば、基本、仕事はぐっと進むと思います。
もしかすると「言うのは簡単だけど、、」と躊躇されるかもしれません。でも覚えておいてください。この段階で書くのは、あくまで「仮説」だということを。つまり、間違えていたら書きなおせばいいんです。間違っていても書く人がえらいんです(二度目ですね、笑)。是非、立ち上って試してみてください。
 
これ以外にも、いくつか重要なスキルがあるので、それも続編として書いていきたいと思います。

記事を書いた人

横山 彰吾