DX銘柄2020 ダイキン工業の取り組み

皆さん、こんにちは!DX Labの近藤です。

過ごしやすい気温の日が続き、すっかり秋になったなあと実感しています。

 

DX Labが設立してそろそろ1年が経過します。設立当初と比較すると、世の中の動向も変わってきたように思います。

1年前は実証実験段階のニュースを多く見かけましたが、最近では次のフェーズとして、実験から浮き彫りになった課題の解消や本サービスリリースに向けた動きが活発になりました。また、リーダー企業の取り組みに追随する流れもあり、サービス化までのスパンも短くなっています。世の中の目まぐるしい変化に対応すべく、新たなソリューションに向けた提携も頻発していますね。

 

最近、こういった動向を見ていてよく感じるのは、環境が目まぐるしく変わることで出現する市場の空白部分に、いかに既存の価値観・資産を絡めながら参加するかが、今後世の中の流れについていけるかどうかに関わってくるのではないか、ということです。

弊社もそういった環境の中にあるのですが、機を逃さずに参入するというのは結構難しい事だなと感じています。情報のインプットから実現までに時間がかかると、参入する頃には既にプレイヤーが固まっていたり、別の空白部分の方が重視されていたり…という事が起こりがちです。

 

 

今回紹介するダイキン工業の取り組みは、世の中の流れをうまく汲みながら提供価値に結びつけている点で、非常に興味深いと感じています。

 

ダイキン工業はDX銘柄2020に選定されていますが、評価された取り組みの一つに、コワーキングスペースの開設があります。ダイキン工業と言えば、”空調設備を売るのではなく、空気を提供する”といった、モノからコトへのビジネスモデル転換が印象深いですが、その延長線上の取り組みにあたるでしょう。

 

簡単に概要を説明すると、音声に基づく感情分析で議論をスムーズに進められる会議室や、位置情報と連動させて空調・照明・セキュリティが自動制御されるオフィスなど、様々なテクノロジーを活用することで、”より効率的に働けるオフィス空間”を目指した取り組みです。ダイキン工業の強みも活かしながら、より高度化した空間を提供するために、共創プラットフォームにより(共同出資によるベンチャー企業” point 0”の立ち上げ)、各々の最新技術やデータ・ノウハウを活用しています。

 

感情分析自体は数年前から活用されている技術なので、世の中の動向を気にしたというよりは純粋なアイディアの一つだったのだろうとは思いますが、コロナ禍においてより「共感」が重視されるようになっている現在においては、意味合いも変わってくるように思います。

 

また、スキームとして、単なるサービス提供に留まらず、利用者の生産性や健康等に関するデータを活用することで、サービス価値の向上及び新規サービス創出を狙っている点が素晴らしいと思いました。

テクノロジーを活用する先のゴールがサービスの提供で終わってしまう事は往々にしてあると思うのですが、本来DXの真骨頂とは、サービスを提供した先の姿だと感じています。

テクノロジーを活用したりデータを集めたりするのは単なる手段でしかなく、それらをいかにビジネスや顧客体験に活かして目的を達成するのかが大事になると考えています。

 

 

しかし、私が最も素晴らしいと思った部分は別にあります。それは、サテライトオフィスへの参入です。

現在コロナ禍でコワーキングスペース市場が思わしくないことになっています。世間では在宅勤務も定着しています。そうした中でpoint 0は、コワーキングスペースで培ったノウハウを活用し、感染リスクを低下させた個人特化型の空間をつくることを9月上旬に発表しました。

 

これは冒頭で触れた、市場の空白部分への参入が非常にうまい例だと思います。環境変化によって当初の計画を柔軟にアップデートし、既存資産を活かしながら同じゴールに進み続けることが出来る企業は、とても少ないと思います。

こういった立ち回りの上手い企業を見ると、目まぐるしい環境変化の中でも高い提供価値を生み出し続けられるのだろうと感じますし、見習わなければならないと思います。

 

 

 

3回にわたってDX銘柄について触れてきましたが、各企業の取組を掘り下げると、見えている部分以外にも得るものがたくさんありますね。そういった点で、DX銘柄は非常に価値ある取組だと思いますし、是非今後も続けて欲しいと思います。

 

それでは、次回もよろしくお願いします!

記事を書いた人

近藤 明香里