【デジマ+解析4話目】デジマ+解析におけるデータ収集・分析の大原則~手遅れになる前に知っておきたい実務のポイント~
以前の記事(第一話、第二話、第三話)ではデジマ+解析を進めていく中での考え方や、その中でのツールとの向き合い方を説明してきました。
ただ、当然のことですが、このデジマ+解析の仕事の中心となるところはそういった事前の準備ではなくて、実際に解析データを集計・分析を行って、実務のPDCAに反映していく所になります。
今回は、実際の解析を行っていく業務そのものの進め方と、そこでの仕組みづくりの重要性について説明いたします。
まず解析に着手するタイミングで気を付けること
解析に着手して、データを集めだした段階では、その集められた範囲のデータでどのようなことを言えるか、ということが重要になってきます。
というのも、Webサイトの閲覧数がいくつあった・メールを何通送付して何通開封された・SNSでの投稿が何件あった、といった絶対値を把握しただけでは、その数字の位置づけが分からないということが背景にあります。
ある程度の期間でのデータが積み重なってくると、継続してきた計測・解析の中で、ある時期とある時期の比較ができるようになってきますが、その時には既に何らかの施策を進めて大分時間がかかってしまっている状況になります。
ここでは、ガイドラインとなる値のデータを持っておくことが重要です。
必ずしも明確な根拠を持って、関係者と意思整合した目標としてのKPIである必要はないですが、凡そこんな数字だと「良い」・「悪い」という基準点となるものが必要です。
何を基準にするか、ですが、まず過去の同様の施策事例の結果から考えるということが一つあげられます。
また、ベストプラクティスとして世の中で謳われているようなものから目安の値を見定めることも一つの方法論となります。
ただ、前者では、自社のこれまでの取組の範囲でしか比較要素を想定できない形になるので、必ずしも今行っている取組と単純に比較することが必ずしも適切なものにはならないという課題があります。
一方で、後者は、世の中のベストプラクティスとされているところに対して、取組そのものの違いだけでなく、業態や、ターゲット顧客など、マーケティングにあたっての与件の違いも考慮して、比較の適切性を整理検討する必要があります。
いずれにせよ、そういったリファレンスとなる対象を複合的に参照して、早い段階でPDCAに繋げられるような分析のインサイトを示せる形にすることが重要です。
長期的な取組としての解析と、そこでの仕組みづくり
デジタルマーケティングで解析を進めていく中で、徐々にその対象範囲となる施策や業務の領域が広がっていき、ある領域での測定項目も多様なものに変容していくということはままあることです。
そうなると、初期は単純なツールのダッシュボードを使っていたものが、徐々にExcelでデータを抜き出して、一部分は指標同士の計算から数値を示す、というようなアドホックなオペレーションの発生なども見られるようになっていきます。
極力そのような例外的な業務の発生を抑えて、標準的な仕組みとして運用するため、データやその集計結果を集約できる形とすることが業務の効率化や標準化の観点では非常に重要になります。
しかしながら、どうしてもデジマの現場では、様々な領域で、個別にツールを運用して使うような形になってしまうことが多くあるので、そうした個別のツールから吐き出されるデータの出力口が分かれてしまうという現象が発生しがちです。
よって、このデータの出力先が一つに集約されて、大きなDBに一元でデータが管理できるような形が望ましいです。
ただし、単純に一つにすればいいというものではなく、例えば、各システムのデータの項目表記の正規化や、まとめられるそれぞれのデータの構造によって、どのようデータな持ち方を取るか、といったデータサイエンス的な知見はこの領域でも非常に重要なものです。
さらにそこからデータを集計することや、集計したものから新たに計算を起こして数値を算出することについても、極力一元化できることが望ましいです。
これは、レコード数が少なければ、Excelでも十分に工夫のレベルで進められますが、ある程度レコード数が増えてくるようになると、Excelでは扱いきれず、本格的なBIツールが必要になってきます。
ただし、どのデータがどのように用いられているか、という抽出・算出過程が明確になっていることと、それが手順として周知されていなければ、ただ分からないものが一つにまとまっているだけ、ということでブラックボックス化してしまうことは注意が必要です。
おわりに
今回は、デジマ+解析を実際に着手してからの進め方、というところでのポイントについて説明させていただきました。
解析する事前の準備から、実際にデータを見ていく所までの流れとして、気にすべきポイントがいくつもあることを紹介してきました。
実務では、より細かい論点が都度発生していきますが、大事なポイントを意識しつつ個別の取組とその改善に何とか一つ一つ落とし込んでいき、意味ある形の解析の実現に繋げていきましょう。